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蓄電池普及か!主要4社だけで前年の総需要の3倍を販売

4社がそろって1万台超えの販売目標
蓄電池普及か!主要4社だけで前年の総需要の3倍を販売

蓄電池各社の目標

家庭やビルなどに設置する蓄電池の主要4社がそろって2015年度は1万台超えの販売計画を立てた。エリーパワー(東京都品川区)はこれまでの累計販売台数と同等の1万台を15年度に販売する計画。レンタル専門のONEエネルギー(東京都港区)は、累計台数の4倍の1万2000台の契約獲得を15年度に目指す。電力料金の上昇や太陽光発電の普及が追い風となっており、シャープなども1万台超えを目標にする。この2―3年で市場が立ち上がり、14年度の市場規模は1万4000台程度と見られる。各社の計画通りなら15年度の市場は大幅に成長する。

 エリーパワーは筆頭株主の大和ハウス工業の住宅向けを中心に販売を伸ばすほか、集合住宅にも納入を増やす。これまでの累計販売1万台にはビルなど産業用途も含まれるが、ほとんどは10キロワット時未満の家庭用。市場拡大に対応するため17年度には新工場の稼働を計画する。

 ONEエネルギーはNEC製蓄電池を家庭にレンタルする。初期費用を抑えられるレンタルのメリットが市場に認知されてきたことに加え、タマホームと始めた太陽光発電のリースとの相乗効果で契約数を積み増す。

 シャープが1万5000台、京セラが1万台と太陽電池2社も15年度は1万台超えを狙う。2社とも太陽光発電システムと連携し、家庭の電力を有効利用する用途で蓄電池を訴求する。京セラの山口悟郎社長は「夜間電力だけでなく、太陽光で発電した電力を充電して使うニーズがあり、太陽光とセット販売を強化する。蓄電池で売上高100億円近くを見込む」と話す。

 蓄電池は設置に補助金が出るようになった12年から製品化が相次いだ。当初は非常用電源や電力ピークの抑制として注目されたが、1台当たり100万−200万円と設置費用が高価なため需要は伸び悩んだ。現在は上昇する電力料金の抑制、買い取り価格低下を受けての太陽光の充電用途で各社が提案を強化している。パナソニック東芝も製品の種類を増やしており、15年度は本格的な普及期に入りそうだ。
日刊工業新聞2015年05月19日1面
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
とても精緻とは言えませんが、市場の動向を探るうえで調査し、記事にしてみました。1万5000台を目標に掲げる企業もあって、14年度の総需要が1万4000台だったとは思えないほど各社が強気です。ドイツでは国策として住宅の太陽光パネルに蓄電池を標準的に付けるように誘導しています。日本もいずれその方向に向かってほしいです。

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