分譲マンションを生き物が住みやすい環境に!

三菱地所「都市の緑が地域資源になる」

生き物の住みやすい樹種を選んだマンションの緑地(三菱地所レジデンス)

 住宅や都市の開発事業は生物多様性と密接にかかわる。生態系に負荷を与えるだけでなく、回復や価値向上に貢献できるからだ。三菱地所環境・CSR推進部の見立坂(みたてざか)大輔参事は、「事業活動の中で生物多様性保全に取り組む」と、同社の方針を説明する。  三菱地所レジデンス(東京都千代田区)は、分譲マンションを生き物が住みやすい環境にする活動を展開する。鳥が羽を休める樹木を植えたり、植栽の50%を在来種にしたりして、敷地の緑地を“質の高い緑”にする。2015年2月に開始し、「ザ・パークハウス」ブランドのマンション50棟以上で取り組んだ。  植栽選びには専門知識が必要だが、社内に植物の専門家がそろっているわけではない。そこで図や絵で在来種やチョウの食草を解説したマニュアルを作成した。同社商品企画部の岡崎新太郎業務グループ長は「可視化したことで、取り組みたい社員が増えた」と話す。  コストを抑える樹種や配置も研究した。枯れ葉が多かったり、草刈りが頻繁だったりすると管理費がかさみ、入居者の負担となるためだ。  活動の狙いを「マンションを点だとすると、緑の質の高い点を街にいくつも作り、線から面へと広げたい」と説明する。動植物が生息する緑地が連続した空間を生態系ネットワークと呼ぶ。同社は年50棟のマンションを供給しており、ネットワーク形成に大きな貢献ができる。マンション購入者も生き物が行き来する街に愛着を持て、満足度が高まる。  三菱地所は東京駅周辺の大手町、丸の内から銀座にかけてのビジネス街「大丸有エリア」で生き物が住みやすい街づくりに取り組む。植栽や街路樹の緑の質を高め、近隣の皇居や日比谷公園との生態系ネットワークを強固にする。  16年中に近隣事業者と「大丸有エリア生物多様性連絡会」を立ち上げる計画だ。「生物が増えた」など効果の測定基準づくりを検討する。新機能開発室の溝口修史氏は「1社では限界がある。民間が連携して緑の価値が高まれば、都民や区民にも喜んでもらえる」と期待する。  同室の井上成(しげる)室長は「都市の緑が地域資源になる」と力説する。緑の質が向上して都市の魅力が高まると、訪れる人が増える。誘客や買い物につながればビルのテナントにも好影響だ。事業所の就労者もエリアへの愛着がわく。街の生物多様性保全は、エリアに多くのビルと土地をもつ三菱地所の事業にも貢献する。

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