歯科技能底上げ、“北九州モデル”を全国に広げる!

九州歯大が再教育拠点を開設。重い疾患のある高齢者への治療に対応

DEMCOPでは大渡教授が心電図などモニタリングも指導する

 九州歯科大学が重い疾患のある高齢者への歯科治療の技能向上などを目的に、「口腔(こうくう)保健・健康長寿推進センター(DEMCOP)」を開設した。全国で初めて歯科医師を対象に、摂食嚥下(えんげ)障害や全身疾患のある患者の口腔機能向上に関する再教育を施す。高齢化が進み歯科治療の現場でも医療技能が求められていることから、質の高い治療ができる人材を育成し、“北九州モデル”として全国発信を目指す。  高齢者や全身疾患に苦しむ患者はさまざまな薬剤を服用しており、内科医や外科医が連携して治療に当たる。しかし在宅医療も増え、特に地方都市では緊急時に対処できないケースが増えている。  九州歯科大によると、福岡県内だけで摂食嚥下障害者は8万6000人だという。栄養状態の低下や誤嚥(ごえん)による肺炎、窒息などが起きると最悪の場合生死に直結するため治療は急を要する。  DEMCOPは主に20―40代の若手医師について、重篤な疾患を持つ患者の口腔治療に対処する専門家に育成することを目的に設立した。実際の治療に近い設備として、内視鏡検査装置や心電図の記録・解析、実習模型「マナボット」などを用意。西原達次学長がセンター長を兼務し、前東京医科歯科大学大学院准教授の大渡凡人教授と、前藤田保健衛生大学大学院講師の藤井航准教授の2人が主に指導する。  初年度は11月19日に開講。2016年度は講義を2度に分け、15人程度を指導する。患者ごとに症状が異なるため、医師と歯科医師の連携は難しいと大渡教授は話す。まずは「歯科側が医療情報を理解し、医学的対応を身につけることが大切だ」と必要性を訴える。  一方の西原学長は、歯科医師の多くがこれまで虫歯や歯周病の治療に追われていたと指摘する。だが高齢化の進展で今や患者の10%が何らかの形で治療が難しい問題を抱えているとし、「国内初の当センターが高齢者の福音となるようにガイドラインを作成する」と意気込む。 (文=北九州支局長・大神浩二)

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