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世界大学ランキング、日本国内の大学約800校を対象に独自作成

学生の進学先選びに役立つか?
 ベネッセコーポレーションと英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」を運営するTESグローバルは、日本国内の大学約800校を対象に、教育の指標に基づく独自ランキングを作成し、上位200校を2017年3月に発表する。研究重視の既存のTHE世界大学ランキングは、日本からの地方国立大学のエントリーが増えるなど注目は高い。新ランキングもより多くの大学が対象になるだけに話題を呼びそうだ。

両者のノウハウ融合


 ベネッセグループは16年1月に、TESグローバル社と包括提携した。ベネッセコーポレーションの藤井雅徳学校カンパニー英語・グローバル事業開発部部長は、新ランキングに向けて「設定基準を満たす国内の大学からデータを収集中だ」と説明する。さらにベネッセの教育事業で蓄積した高校生や高校教諭、企業人事部などの評判と、THEの分析要素やノウハウを融合する予定だ。

 TESグローバルはすでに、初の国別・教育版のランキングを米国で米ウォール・ストリート・ジャーナルと連携して実施、9月に発表した。TESグローバルのトレバー・バラット常務は「教養教育(リベラルアーツ)大学などより多彩な大学を登場させられ、学生の進学先選びに役立つ」と意義を強調。「教育は研究と異なり、データでとらえにくい。しかし連携により国レベルの豊富なデータを取り入れることで様子が見えてくる」(THE世界大学ランキングのフィル・ベイティ編集長)という。

 新ランキングは米ハーバード大学など、世界的な研究大学が対象の通常のTHE世界ランキングと対極的だ。通常は査読付き論文の被引用数などのハードルを越えたエントリー大学が、データを提出して分析してもらう。

エントリー、前年比で2割増


 9月発表の最新版(16―17年)で、ランキング入りと公表されたのは980大学。エントリーが増えた結果、前年比で2割増だ。しかし世界的な研究大学について、同社は全世界約1万8000大学のうち5%相当と考え、これ以上増やさない方針を決めている。

 また、今回のTHE世界ランキングでランキング入りした日本の大学数は69大学と前年の41大学から大幅に増えた。地方国立大学や国際化重視大学のエントリーが増えた結果だという。論文の被引用率の高い豊田工業大学が九州大学、北海道大学と産業界からの収入の大きい近畿大学が慶応義塾大学、神戸大学とそれぞれ同等の順位など話題も豊富だ。

 一方、THE世界ランキングに掲載されなくても、「教育がテーマの新ランキングなら本学も」と期待を寄せる大学が少なくない。公表予定日である来年の3月30日は注目を集めそうだ。
(文=編集委員・山本佳世子)
日刊工業新聞2016年10月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
高校生の視野を広げ、偏差値だけでない大学の選び方ができるようになるのでしょうか。高校や学習塾への周知も必要そうです。

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