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プログラミング大好き女子が営業へキャリアチェンジした理由

文=アクロクエストテクノロジー 白井智子さん
プログラミング大好き女子が営業へキャリアチェンジした理由

就職合同説明会に先輩として参加

 大学院まで情報専攻に進み、プログラミングにのめりこんだ。積極的に国際学会にも登壇した。

 就職活動では合同説明会には参加せず、逆求人イベントで共鳴した数社を自分から会社訪問した。周りの同期は、ほぼ大企業に内定を決める中、全社員で給与まで決める、こだわりの社風を持つアクロクエストテクノロジー(横浜市港北区)に決めた。

 入社後はエンジニアとしてウェブシステム開発に携わり、2016年4月から営業へキャリアチェンジした。

 現在の仕事はエンジニア、営業だけに留まらない。新卒採用やミャンマー支社の現地スタッフ教育、組織コンサル事業にも携わっている。

 ミャンマー支社の教育では現地セミナーだけでなく来日したミャンマー人社員3人と会社のシェアハウスで生活を共にした。ミャンマー人の挑戦しない思考様式に驚き、会社でも寮でも昼夜問わず2年間、挑戦の良さを啓発し続けた。彼らがミャンマー支社に戻り、中核人材となるまでに意識を変えてくれた事がとてもうれしい。

 組織コンサルティング事業の「組織いきいき実践勉強会」のサポートでは、中小企業間で異なる組織の考え方を分析し、課題解決を考えた。中でも、社長さんたちから聞いた一番の問題が「社員が変えていこうとしない」ことに驚かされた。同じ中小企業でも、自分の働く環境との差を実感した。

 ちなみに、当社は調査機関のグレート・プレイス・トゥー・ワーク・インスティチュート(GPTW)ジャパンが発表した「働きがいのある会社ランキング」の従業員25―99人部門で2年連続1位を受賞、多数の企業が視察に訪れている。社風が気に入って当社を選んだ私の目に狂いはなかったと喜んでいる。

 こうした経験は仕事に生きている。私は気が利かないため、エンジニアとしてシステムを作り続けると思っていた。だが、現在では当然の如くお客さまの顔を見ながら話をし、相談に乗り、下手ながら交渉もする。

 「ベンチャーなんだから、なんでも挑戦するのよ!」―。当社の女性副社長タマさんの口癖だ。プロジェクトだけでなく、どれだけ多くの物事に挑戦したかが、成長につながる極意だと感じている。


(企画協力・日本女性技術者フォーラム(JWEF))


【プロフィル】13年筑波大院情報システム工学研究科修士修了、同年アクロクエストテクノロジー入社。ソフトウェアエンジニアを経て営業担当。
日刊工業新聞2016年10月25日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「私は気が利かないため、エンジニアとしてシステムを作り続けると思っていた。」と話す白井さん。そういった思い込みや決めつけでキャリアを限定してしまっていないか、自分を振り返るきっかけになりました。

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