ニュースイッチ

自動車部品の検査に人工知能、エクセディがATで試験導入へ

NECの技術を活用、目視で困難な微小なトルコンの傷を判別
自動車部品の検査に人工知能、エクセディがATで試験導入へ

トルコンは微小な傷も不具合につながる

 エクセディはNECの協力を得て、自動変速機(AT)用トルクコンバーター(トルコン)の生産ラインに人工知能(AI)を月内にも試験導入する。熟練工が目視で行っている金属表面の品質検査をディープラーニング(深層学習)による“電子の目”に置き換え、目視では困難な微小な傷を判別する。実証実験の成果を踏まえ、国内外の全ラインへの適用を目指す。

 採用するのはNECのAIソリューション「RAPID機械学習」。判定の手本となる画像データを学習させるだけで、加工時に生じる金属表面のバリや傷、汚れなどの特徴から判断モデルを自動生成できる。これにより検査精度のバラつきをなくせる。高精度な自動車部品の検査工程にAIを活用するのは珍しい。

 実証実験はエクセディ本社工場(大阪府寝屋川市)で行う。トルコンの生産ラインでは現在、傷や汚れがありそうな製品を画像処理で検出し、熟練工が目視で検査している。ただ画像処理では汚れとホコリの違いなどの判定は難しく、熟練工の検査が不可欠だった。

 実験では熟練工の判定眼をディープラーニングに取り込み、良品判別の自動化の可能性を検証する。検査作業時間は1個当たり30秒と短いため、現場で動く通常のサーバーで稼働可能なRAPID機械学習を採用する。

 エクセディはトルコンの世界シェアトップで、2015年度販売実績は国内が530万台、海外は920万台。国内外とも生産ラインは見える化を徹底しており、次の段階としてスマート工場化を志向している。

 実証実験は経済産業省の「スマート工場実証事業」に採用されている。実証では三重県の事業所でプレス機にセンサーを取り付けたビッグデータ(大量データ)分析による故障予知も検証する。
日刊工業新聞2016年10月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自動車部品の品質基準は非常に高く、検査工程にも時間がかかる。これが実用化されればコスト的にも非常にプラスだろう。

編集部のおすすめ