柏崎刈羽原発の再稼働遠のく。電源構成の未来に大きな課題

東電の経営問題に発展も

新潟県知事選で勝利し万歳する米山隆一氏(中央=16日)

 東京電力ホールディングス(HD)柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働問題が争点になった新潟県知事選挙。再稼働に慎重な姿勢を示す米山隆一氏が当選した。新知事の今後の動き方により同原発の停止が長引けば、東電HDの経営に大きな難題が持ち上がる。  原発再稼働に慎重な候補者の当選について電力業界では「再稼働の是非が、ここまで大きな争点になるとは思わなかった」(電力会社幹部)との反応が強い。この結果、「多くの浮動票が慎重派に流れた」と分析する。  柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては、原子力規制委員会が新規制基準への適合性に関する審査を6、7号機で進めている。だが、従来の慣例によれば規制委の審査に合格しても、地元自治体の同意がないと再稼働は難しい。  東電HDが6月末に行った試算では6、7号機の一方が再稼働すれば、火力発電所の燃料代が浮き、月最大100億円程度の収支改善になる。それだけに同原発の停止が長引けば、実質国有化されている東電の再建への大きな足かせとなる。  福島第一原発の事故処理費用が、東電や政府が確保した11兆円の枠を大幅に上回る見通しとなる中で、経済産業省は有識者会議を通じ、追加費用を賄う方策の検討を始めた。資産売却や事業再編を進めて費用を捻出させる方針だが、柏崎刈羽の停止が続けば、さらに踏み込んだ事業構造改革が必要になる可能性がある。脱国有化の前提となる2016年度中の公募社債発行再開にも黄信号がともる。  経産省内には以前から、柏崎刈羽原発を他社へ移管するなどの再編論がある。有識者会議も新潟県内の情勢を踏まえ、外部との事業統合や経営統合を促す方向に大きくかじを切る可能性があり、このような案を同社がどこまで受け入れるかが注目点となる。  世耕弘成経済産業相は17日午前、米山氏の知事当選に対し、「新潟県民が選んだ結果。新知事の考えをゆっくりとうかがいながら、我々としての対応を考えていきたい」と記者団に語った。現時点で米山新知事との「会談の予定は立っていない」という。  東電改革に対しては「非常に重要なパーツであり、東電がどういうふうに非連続的な改革を成し遂げるのかも地域に理解される上で非常に重要な点だ。有識者に意見をもらって現在進行中。引き続き地道に努力を重ねていきたい」とした。  また、再稼働に反対する意見が多いことに対しては「原子力防災計画がもう少し浸透が足りなかったのかなという点はあるかもしれない」とした。  地元・新潟県内の製造業に携わる中小企業経営者の間では、原発再稼働に理解を示しつつも、福島第一原子力発電所事故の徹底的な検証を求める声が相次いでいる。切削工具の再研磨を手がける加藤研削工業(新潟市東区)の加藤義竹社長は「福島の検証が足りない」と述べる。  高精度なスピンドルを製造するエヌ・エス・エス(新潟県小千谷市)の中町剛社長は、「小千谷市は柏崎刈羽原発から20キロメートル圏内にあり、事故があれば操業が停止になる可能性がある。仮に再稼働するのなら、絶対に事故が起こらないようにしてもらいたい」と訴える。  産業機械の組み立てを請け負うJPC(同長岡市)の吉原誠社長は「再稼働しても技術的に絶対に問題がないと確認できるのなら再稼働を推進してもよい」と話す。長岡市も柏崎刈羽原発から20キロメートル圏内にある。  17日の東京電力ホールディングス株は大幅下落。終値は前営業日比33円(約8%)安の385円だった。東京株式市場全体が小幅上昇するなか、取引開始から急落。午後の取引で下げ止まったが、株価が低迷したまま取引を終えた。同社株の下落により、東証1部の業種別でも「電気・ガス業」が下落率トップとなった。

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