盛り上がりにかける電力自由化。北海道・士幌町に新しい可能性を見た

三菱電機が支援JAのバイオマス発電。狙いは地域への還元

士幌町バイオマス発電

 三菱電機の地域主導型スマートコミュニティー(次世代社会インフラ)が始動した。三菱電が構想段階から支援するJA士幌町(北海道士幌町)が新電力「エーコープサービス」を立ち上げ、酪農家のバイオマス発電設備から購入した電力の販売を開始。バイオマス由来の電力が70%となっており、地域のエネルギー資源を地域活性化に活用するための一歩を踏み出せた。電力事業の知見がないJA士幌町を支えたのが三菱電だ。  新電力のエーコープサービスが電力を購入するバイオマス発電9基は、乳牛のふん尿を燃料に発電する。酪農が盛んな士幌町では、バイオマス発電が年1―2基のペースで増えており、電源として目を付けた。  売り先はJA本部ビル、店舗、農作物の乾燥倉庫など。JA士幌町が保有する高圧契約施設をカバーした。JA士幌町の電力事業は、もうけることが目的ではない。  狙いは地域のエネルギー資源で得た利益を、地元に還元することだ。決まってはいないが、電力事業の利益を組合員に分配したり、安く電力を販売したりできる。他にも、農作業に必要な設備の購入支援などの、さまざまな還元策が考えられる。  もっとも、JA士幌町は電力事業の素人。特に電力需要を見通し、バイオマス発電だけだと不足する電力を手当てする需給調整には、高い専門性が求められる。そこで、三菱電が構想段階から支援した。  需給調整は新電力大手のF―Power(東京都港区)が担う事業体制を構築。三菱電は電力需給の監視や損益実績を管理できるシステムを提供する。外部のサーバーを活用するクラウド上で利用できるので、エーコープサービスは自前でシステムを構築せずに済んだ。社員も数人で運営できている。  三菱電のスマートコミュニティー事業の基本は、地域主導だ。運営主体は地元企業や地方自治体など地域側に委ね、三菱電は支援に徹する。地域が主体なら、スマートコミュニティーの必要性が地元に理解されやすく、導入が進みやすい。  同社スマートコミュニティプロジェクトグループの鈴木浪平主管技師長は「地域に電源があり、地域に思いがあること」とも付け加える。思いとは「地域活性化」だ。その思いをくみとれば、三菱電と地域との関係が強まり、事業の広がりが期待できる。三菱電はJA士幌町をモデルに、他地域への展開を進める。 (文=松木喬)

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