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大手金融機関も導入する“コンピュータ上で動く仮想ロボット’

「RPA」が 非生産的な業務から開放、ホワイトカラーの働き方が変わる
 ロボットや人工知能(AI)に仕事が奪われる、今まで人間がやってきた仕事の多くが将来無くなるといった話がまことしやかに囁かれています。実際に単純なデータ入力や電話応対の初期段階や企業の受付などは、随分前から自動化しています。問題はこれまで人間が得意と考えられていた分野も、ロボットやAIが追いついてきたということです。

 文脈から相手の意図を汲み取ったり消費者の趣向や行動からお薦め商品を紹介したり、といったことがコンピュータでもこなせるようになってきました。

 コールセンターのオペレーターや販売店員、営業職員の仕事がロボット化されるのもそう遠くないかも知れません。

 一方、ビッグデータ解析やAIといった最先端の技術を使わなくても、人間が行ってきた定型作業を自動化することで、非生産的な業務から従業者を解放するという取り組みも注目されています。

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるもので、「コンピュータ上で動く仮想ロボット」と言えば分かりやすいでしょうか。

 営業事務や経理などで実用化され、大手金融機関も既に導入しています。人間がやってきた作業を一部肩代わりすることで、これまで単純作業に追われていた人々は、今まで手が回らなかった重要な仕事に労力を振り向けられるといいます。

 自動処理やAIの導入によって、人の仕事が奪われるというのは一面的な見方です。特にホワイトカラー職場は依然として、膨大な事務作業に追われ、顧客対応や商品・サービスの向上といった業務に人材を十分振り向けられていない、というのが実情ではないでしょうか。

 今後は生産年齢人口の減小による労働力不足も懸念されます。人手に頼っていた間接部門の業務を、自動処理やロボットに置き換えることにより得られるメリットの方が大きいはずです。

日刊工業新聞電子版セミナー『テクノロジーで変わるホワイトカラーの働き方』




日刊工業新聞電子版2016年10月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
紙ベースの帳票を照合する作業や、書類の記入漏れがないか確認するといった作業はコンピュータが得意とするところです。また単純作業の繰り返しによるミスが防げるといった利点もあり、事務作業の自動化は大手から中堅・中小企業まで広がっていくと予想されます。

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