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「下請法」50年ぶり見直しへ。支払手形の期間短縮、ルール厳格化

年内に通達。未来志向の取引慣行へ「世耕プラン」策定
 政府は下請け取引環境の改善に向け、年内をめどに「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の一部を見直す。支払手形の期間短縮を促すなど、下請け業者への支払いルールを厳格化する。見直しは約50年ぶり。併せて親会社となる企業に、業種別に自主行動計画の策定を要請する。下請け企業が不利益を被ることがないように取引環境を改め、収益性の向上を後押ししつつ賃上げの環境整備を進める。

 下請け取引の適正化に向けて、政府は「よりメリハリの効いた取り組みを官民一体となって進めていく」(世耕弘成経産相)と従来よりも強力に推進していく考え。このため経済産業省は、コスト負担の適正化などを盛り込んだ政策パッケージ「未来志向型の取引慣行に向けて(通称・世耕プラン)」を策定した。

 下請法は不当な下請代金の値引き要請、支払期日の延期などを防止する法律。今回の見直しでは、同法で禁止する割引困難な手形に関する期間の定義を変更する。現在、割引困難な手形の期間を繊維業が90日、それ以外の業種は120日以内と定めているが、これを60日に短縮する。年内にも新しい通達を出す。

 さらに下請け事業者に対する支払いは、原則として手形ではなく現金とすることを親事業者に要請する。手形の場合でも、割引負担料を発注側である親事業者が負担するよう求める。このほか不適正な原価低減要請や金型保管コストの押しつけといった違反行為の事例追加も公正取引委員会に提案する。

世耕プラン




日刊工業新聞2016年10月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
業種別の自主行動計画については、すでに世耕大臣が自動車業界の幹部と相次ぎ直接会談し協力を要請している。これに加え「素形材」「建設機械」「電機・情報通信機器」「繊維」の4業界に同様の自主行動計画の策定も要請中。対象の業界は段階的に増やし、進捗状況や効果も追跡調査して、継続的に浸透を図っていくという。

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