環境部がない環境活動。 帝国ホテルがエコマーク取得した理由。

従業員が細かく分別。「宿泊者にもっと好きになってもらいたい」

スタッフによる空き缶の分別処理

 帝国ホテルは環境ラベルの「エコマーク」を取得した。ホテルでの取得自体が珍しい中で、直営4店舗が同時に取得した。環境専門部署がなく、各職場からスタッフが参加する委員会方式が特徴だ。現場視点からの対策の立案と参加意識の浸透により、委員会活動を本格化した2001年度と比べ15年度のエネルギー使用量は20%、ゴミ排出量は30%それぞれ削減した。  東京、大阪、上高地(松本市)の帝国ホテルと、ザ・クレストホテル柏(千葉県柏市)がエコマークを取得した。帝国ホテル企画部の有高佐誉子さんは「エコマークの取得で私たちの活動を第三者に認めてもらえる。エコマークは認知度が高く、社会にも分かりやすく伝えられる」と取得の理由を話す。  各職場から集まった環境委員会のメンバーは、省エネや廃棄物対策など4チームで活動する。他社では環境部が立案した目標や活動を各職場に振り分けている場合が多い。委員会方式は自分たちで決めた活動なので参加意識が高まり、前向きに取り組める。  「職場からの参加なので、実情にあった活動ができる」(有高さん)のも利点だ。ホテルは客室の空調の温度を変えたり、照明を調整したりできない。非日常体験を求めて滞在する宿泊客に負担となるためだ。  客室のゴミの問題がある。宿泊客に分別や持ち帰りをお願いできない。そこで回収したゴミをスタッフが20種類に分別している。細かく分けると再利用業者に引き取ってもらえる量が増え、リサイクル率が上がってゴミ排出量を減らせた。  温暖化対策では、宴会場を利用した企業に自然エネルギーを活用したとみなせるグリーン電力証書を発行するサービスを用意した。二酸化炭素(CO2)排出ゼロでイベントを開催したことになるので、利用者も温暖化対策に貢献できる。  職場で発生する空き缶を素材別に分けてつぶす活動もある。スタッフ自らが処理を体験するので飲み残しをしなくなるという。処理後は売却し、得た資金でホテルの目の前の日比谷公園の花壇を管理している。地域にも貢献するためだという。  エコマーク取得で「ファンを増やしたい」(有高さん)という。宿泊先を選ぶ基準にしてもらうことはもちろん、「宿泊者にもっと好きになってもらいたい」と期待する。  エコマークは日本環境協会が事務局。省エネや省資源・リサイクルなど全般的な環境配慮を第三者が確認し、基準を満たすと取得できる。政府機関の調達基準となっており、事務用品の取得が多い。 (文=松木喬)

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