「社長を辞めるつもりだった」孫氏が語った自然エネルギーへの思い

50年のうちに地球上のエネルギーの100%がつながると信じている

スピーチする孫さん

 「自然エネルギー財団」の設立5年記念シンポジウムが9日、都内で開かれ、ソフトバンクの孫正義社長が4年ぶりに登壇した。一時はソフトバンクの社長を辞めてまで自然エネルギーの普及に取り組む決意をし、自ら財団を立ち上げた。当時の思い、そしてこれまでの活動の成果を語った。 【講演の要約】  福島のアクシデントは本当に怖かった。東京だったら、どれほど多くの人の命が危険にさらされるのか。そう考えると涙が止まらなかった。我々の通信網が立派なら、(津波で)亡くなった人も少なかったのでは。責任を痛感し、震えが止まらなかった。  福島にとどまっている子供、お年寄りを迎えに行くことした。私は家族に泣きながら伝えた。結局、福島に残った人たちを連れて戻れなかったが、人間は二度とこんな事故を起こしてはダメだと決意した。    ソフトバンクの社長を1年やめさせてくれと言った。福島に行って状況打開に専念したい。取締役会は大げんかになり、2時間怒鳴り合っても辞めることができなかった。しかし、ソフトバンクの資産で取り組むことを許してもらった。この財団も作った。   (モンゴルの風力発電から韓国経由で日本へ送電したコスト)  「アジアスーパーグリッド構想」(※)は、気宇壮大すぎる、採算も、政治的にもありえない、と言われた。5年がたち、我々はモンゴルに風力発電所を建設する土地をおさえた。インドでも世界最大のプロジェクトを動かしている。私は楽観論者。夢、理念、志、ビジョンがあれば結果が付いてくる。  そして奇跡が起きた。1月に会った中国・国家電力網公司のリュウ・ゼンヤ前会長が私と同じビジョンを持っていた。うれしかった。3月、国家電網公司、韓国電力公社、ROSSETI(ロシア)と覚え書きを結び、モンゴルの風力発電からの日本への送電がいけるのか、調べるみようとなった。わずか半年で、どんどん進んでいる。  日本・中国・韓国・ロシアは「ゴールデンリング」。4カ国がリングで連携できれば、世界に希望が見えてくる。(モンゴルの風力発電所からの送電は)技術的にできる、採算が合うことがわかった。石炭火力よりも安い、だいぶ安い、いけそうだ。クレージーなアイデアだけど、実現が見えてきた。  地球のどこかで常に太陽は輝いている。常に風は吹いている。常に水は流れている。50年のうちに、地球上のエネルギーの100%が自然エネルギーでつながっていると信じている。 ※アジアの国々が電力網をつなぎ、再生可能エネルギーで発電した電力を供給する構想

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