積水化学の仮想発電所、“太陽光住宅”の売電迷子を出さない!?

日本で初めて既存配電網を活用し実証。家庭に蓄電池、電気を相互融通

仮想発電所の実証実験を行う「スマートハイムシティ研究学園」(茨城県つくば市)

 積水化学工業がエネルギーの自給自足に向けた新たな挑戦に乗り出す。茨城県つくば市で一般家庭の蓄電池を連携した仮想発電所(バーチャルパワープラント)を構築。蓄えた電力を電力会社の配電網を使い、住宅同士で相互に融通する実証実験を始める。既存の配電網の活用は日本初の試みという。実用化すれば太陽光発電システムなどを搭載した「スマートハウス」のエネルギー利用効率が、一気に高まる可能性がある。  実証実験は経済産業省の補助事業の一環で、東京電力パワーグリッド(東京都千代田区、武部俊郎社長)の協力で、10月に始める。太陽光発電システム(PV)と蓄電池、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を搭載した一戸建て住宅「スマートハイム」10棟と積水化学のつくば事業所(茨城県つくば市)が参加する。  各棟と事業所の電力需給を統合・制御し、蓄電池から配電網へ電力が流れる「逆潮流」の影響や、電力自給率の改善状況を検証する。それぞれの住宅が搭載するPVの出力と蓄電池の容量に応じた料金プランも検討。設備投資に応じて電力料金が安くなるような、不公平感のないプランをつくる。住宅は2017年4月までに20棟まで増やす。実験は18年9月まで続ける。  積水化学の上脇太執行役員住宅カンパニー商品開発部長は「大きなレンジで電力を活用する機運が高まっている」と実験の意義を語る。蓄電池の電力を配電網に流すのは、PVの電力を流す場合に比べてハードルが高い。PVの発電量は気象条件である程度予測可能だが、任意に流せる蓄電池は予測しにくい。需給バランスが崩れやすくなり、停電の危険性が高まる。  それでも今回の実証実験が可能になったのは、国の補助事業という位置付けに加え、国が自給自足型のエネルギー政策へとシフトしていることがあるという。  19年には住宅用太陽光発電の余剰電力を固定価格で買い取る制度の開始から10年を迎え、10キロワット未満の買い取り期間が終了時期を迎える。このため、上脇執行役員は「電力を売るメリットが少なくなり、使う方がメリットになる時期が近づいている」と見る。  積水化学は1999年にPVを標準搭載した住宅を発売。これまでに建設したPV搭載住宅は17万棟超で、世界最多と言われる。このうち約7万棟が、09年の余剰買い取り制度の開始に合わせて売電を始めている。19年に買い取り期間終了を迎えると、電力の買い取り価格は4分の1以下に下がる見通し。7万棟のほとんどが制度から離脱すると予想している。  同社は「実験がうまくいけば(19年の)終了時期に合わせて商用に展開したい」との意向だ。既存の配電網を使えば、日本全国に散らばる住宅の間でも電力融通が可能になる。実験で結果を出せば、東電以外の電力会社の協力も得やすくなるとみている。 (文=斎藤正人) <関連記事>

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