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「20年選手」交代!プレス機械つくる老朽設備を更新、15%コストダウン

川崎重工業グループの川崎油工
 川崎重工業グループの川崎油工(兵庫県明石市、前田正美社長、078・941・3311)は、2016年度内に総額5億円を投じ、本社工場の生産設備を刷新する。大型の門型マシニングセンター(MC)や立型のコンピューター数値制御(CNC)旋盤などを更新。同工場は稼働から25年ほどが経過し、老朽化が進む。最新設備の導入で生産効率を高め、14年度比で15%のコストダウンにつなげる。

 川崎油工は本社工場の生産ラインに、プレス機の外観フレームなどを加工する有効門幅3500ミリメートルの門型MCを導入する。16年度中に据え付け工事を開始し、17年末の稼働を計画。プレスのシリンダーヘッドの加工に用いる立型CNC旋盤も導入する。

 同工場は90年に兵庫県高砂市から、本社とともに移転してきた。老朽化した設備を順次更新し、生産性を改善する。

 コストダウンで価格競争力の向上を図るほか、円高進行に伴う海外案件の採算リスクを低減する。

 設備更新とともに、新型プレス機の試作機を工場内の研究棟に設置する。新型機をデモ展示し、顧客への提案活動に役立てる。開発中の新型機は、電気で動く機械プレスと油圧プレスを組み合わせた加圧能力1200トンのハイブリッド型になる。

 高精度・低騒音といった特徴を持つ機械プレスと、圧力をかけた状態で一定時間保持ができ、樹脂成形などにも使える油圧プレスの利点を組み合わせて開発する。

 川崎油工は、出力1万キロニュートン以上の液圧プレスではトップシェアを持つ。新型機や戦略機種の開発を加速し、18年度に売上高60億円(15年度は約47億円)を目指す。
日刊工業新聞2016年9月6日機械・ロボット・航空機2面
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
川崎油工(川油)が得意とする油圧プレスは、自動車部品のプレス成形法として注目されているホットスタンピングと相性がいいとされます。ホットスタンピングは熱して軟らかくした鋼板をプレス成形すると同時に冷まします。この焼入れで鋼板を強くできます。加圧力が大きく、装置価格もこなれていることなどから、親和性が高いと言えます。 川油はホットスタンピング向けで海外自動車部品大手への供給が多かったのですが、ここ数年は北米の日系自動車部品大手などにも供給を拡大しています。

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