ドイツ・シーメンスが日本で水素製造システムの実証を検討

ガスタービス軸にサプライチェーン構築を目指す

会見するシーメンスのリサ・デイビス取締役㊧と日本法人の藤田専務執行役員

 独シーメンスは1日、風力発電の余剰電力を活用した水素製造システムの実証実験を日本で計画していることを明らかにした。時期や場所は検討中だが、エンジニアリング会社や商社などと共同で実施する方針。余剰電力で水電解装置を動かし、水を電気分解して水素を製造する。シーメンスは、水電解装置や水素を燃料にできるガスタービンなどを保有。貯蔵や輸送などで他社の協力を仰ぎ、水素利用のサプライチェーン構築を目指す。  シーメンスのエネルギー関連事業は、風力発電機とガスタービンを軸とした火力発電所向け機器が2本柱。風力発電は2030年までに、中東やアフリカ、アジアを中心に全世界で年率2・2%の成長が見込まれている。  ただ、風力発電由来の電力は電力系統への接続を制限されるケースもあり、「発電能力の半分程度しか系統に送電できない」(藤田研一シーメンス専務執行役員)のが現状。蓄電池などの設備がない場合、余剰分は捨ててしまっている。  検討する実証実験は、余剰電力を有効活用するもの。水電解装置による水の電気分解で水素を製造。水素発電で再び電力に変換したり、燃料電池車(FCV)の燃料として活用する案などが有力。エンジニアリング会社や商社などと連携し、実証に乗り出す計画だ。  余剰電力を蓄電池にためる場合は、放電など長期間の蓄電や導入コストに課題がある。大量に貯蔵・運搬できる水素に置き換えておけば、電力を安定的に利用できる。  シーメンスはすでに、15年7月からドイツ・マインツで同様の実証を開始。1時間当たり1000立方メートル(FCV2000台程度に相当)の水素製造能力を持ち、水素を燃料とするガス発電やFCVへの供給などを行っている。  国内企業でも豊田通商や川崎重工業などのグループが北海道で実証事業を実施中のほか、千代田化工建設も研究所(横浜市神奈川区)に風力由来の水素製造に向け、高効率電解装置を設置。再生可能エネルギーを有効活用する手段として、水素が注目されている。

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