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人型ロボットでカーエアコン用のモノづくりを自動化

岩津化成が樹脂部品の検査から。組み立ても検討
人型ロボットでカーエアコン用のモノづくりを自動化

検査・箱詰め工程に導入した「ネクステージ」

 岩津化成(愛知県岡崎市、内田善信社長)は、カーエアコン用の樹脂部品の検査工程に人型双腕ロボット「ネクステージ」を中心とする自動化システムを導入した。人材不足が深刻化する中、工程の自動化を進めることで生産能力や生産技術の向上を図る考え。総投資額は樹脂の射出成形機や搬送システムも含め2800万円。今後は検査の前工程にあたる一部組み立てなどへの応用も検討する。

 エアコンのフィルターカバーの検査・箱詰め工程に同ロボを導入。8月上旬から量産工程で稼働している。ベルトコンベヤーを流れる部品の形状を検査し、出荷用の箱に入れるまで約12秒に1個ペースで検査・箱詰めが可能という。

 従来、成形後の部品はいったん社内用の箱に詰め、検査工程を通った後に出荷用の箱に詰め替えていた。ロボットの導入で検査・箱詰め工程を大幅に短縮できる。

 同ロボはカワダロボティクス(東京都中央区)製。導入にあたり、政府のものづくり補助金を活用して1000万円の助成を受けた。

 岩津化成の2015年12月期売上高は5億円で、事業のほぼすべてが自動車関連。愛知県内では自動車産業を中心に人材不足が深刻化しており、同社も採用難に直面する。

 内田社長は「単純作業はロボットに置き換えたい」と話し、今後は樹脂部品の一部組み立てなどにもネクステージを活用する考えだ。
日刊工業新聞2016年8月31日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
助成金を活用することで、ロボットをはじめとする自動化システムを工場に導入しやすくなった。この追い風を生かし、中小企業でも積極的に自動化へチャレンジすることが日本のモノづくり存続に不可欠だ。ただ、システムを構築できる事業者の数が日本には足りない。大企業のライン構築などの実績を持つ技術者の能力を集積してさまざまな企業の自動化に生かせる仕組み作りが必要だろう。

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