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小学生に手術体験!医療メーカー、学生教育で病気への関心アップ

小学生に手術体験!医療メーカー、学生教育で病気への関心アップ

日本アルコンは白内障手術の体験ができる「キッズワークショップ」を実施

 医療機器メーカーが学生を対象とした教育プログラムを充実している。第一線で活躍する現役の医師らによる講演・実習を通じて、一般になじみの薄い病気への関心を高めるととともに、正しい認知や理解を促すのが狙い。また、将来を見据えた若者の人材育成にもつなげたい考えだ。

白内障手術を体験


 眼科領域向けの医薬品や医療機器、コンタクトレンズなどを手がける日本アルコン(東京都港区、ジム・マーフィー社長)は、白内障手術の体験ができる小学生向けセミナー「キッズワークショップ」を実施した。

 白内障は目の中にある水晶体が加齢とともに白く濁る病気。光が目の奥に届きにくくなることで、見えにくかったり、かすんだりする症状が出る。白内障手術は濁った水晶体を砕いて取り出し、その代わりに眼内レンズと呼ばれる人工の水晶体を挿入する手術で、世界でも一般的に行われている手術の一つだ。

 講習会では実際の顕微鏡や器具などを使ってブタの目を解剖した。目の中にある水晶体を取り出すとともに、目の中を吸引し、眼内レンズを挿入した。正常な水晶体は柔らかく、透き通って見える。参加者は水晶体を手に取り、のぞき込んでいた。

 講師として参加した、ときわ台村中眼科(東京都板橋区)の村中公正院長は「病気などの異常を知るには正常な状態を知ることが大事。白内障手術は奥が深く、やりがいもある」と呼びかけていた。

診断や治療方針を決める病理医を知る


 病理検査機器・器材などを手がけるサクラファインテックジャパン(東京都中央区、佐々木正尚社長、03・5643・2630)は、7月に順天堂大学医学部が主催した高校生向けセミナー「顕微鏡の世界―正常細胞とがん細胞の違い」に協賛した。

 がんの診断や治療方針を決める「病理医」を知り、興味を持ってもらうことが狙い。セミナーでは現役の病理医による病理診断などの説明とともに、顕微鏡を使ってがん細胞のガラス標本を観察しながら臓器・部位、がんの種類などを診断する病理標本実習を行った。近隣の高校生・中学生ら約90人が受講した。順天堂大学の樋野興夫教授は「がんにも多数の種類がある。がんに対する正しい理解を深めてもらいたい」としている。

 サクラファインテックは他部署の業務の補佐することでキャリアを磨く社内制度「ジョブサポ」がある。同制度を通じ、セミナーの協賛だけでなく運営も支援した。
(文=村上毅)
日刊工業新聞2016年8月30日 ヘルスケア面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
手術体験は小学生にかなりリアリティとインパクトを与えそうです。手を動かす体験というのは強く心に残ります。

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