「発電機もお絵かきの対象にしよう」 水素は未来をデザインする

表面に配管やネジなどの凹凸が一切ない東芝の水素エネルギー供給システム

 子どもが書けるアイコン(記号)―。「H2One」のデザインの目標の一つだ。東芝のデザイン陣は、自動車や電車のようにクレヨンを手にした子どもたちが画用紙に描ける外観を求めた。  簡単に言えば「シンプルで記憶に残るデザイン」(デザインセンターの大向真哉主務)となるが、H2Oneは水素を利用する新しい製品。水素という“未来のエネルギー”をアイコン化するため「簡潔で美しい」(同)を貫いた。  H2Oneは太陽光と水があれば水素を無尽蔵に作れる。水素をためておけば、必要な時に電気とお湯を供給できる。デザインを指揮した乙葉茂グループ長は「水素は人類の新しい選択肢」と話す。その選択を託すH2Oneには従来の発電機にはないデザインが必要だった。  デザイン案が固まったのは2014年10月17日、川崎市との打ち合わせの時だった。東芝と市は、市民の憩いの場である「川崎マリエン」でのH2Oneの実証運転を計画していた。  場所が港なので市職員が「コンテナにしたら世界中、どこへでも送れる」と発言したという。「どこへでも運べる」はH2Oneのコンセプトと一致する。大向主務はコンテナをベースにしたスケッチを描き、1カ月後の11月13日、市との共同会見でH2Oneの完成コンピューターグラフィックス(CG)を披露した。  普段なら完成品はデザイン通りにはならないが「H2OneはCGのままだった」(大向主務)。横内恭人参事は「“未来のアイコン”というストーリーにモノづくり側も共感した。新しいエネルギーを普及させるエポックメーキングにしようと同じ方向に走り出せた」と振り返る。  完成したH2Oneは表面に配管やネジなどの凹凸が一切ない。次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームの森淳一主務は「内部に機能を集中させてメンテナンス性を高めた。扉を開けるハンドルもなく、防犯性も確保した」と解説する。美観だけでなく実用性も両立させた。 (文=松木喬)

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