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国立大学の教授はさらに“研究貧乏”に。6割が年間50万円未満

減少傾向続く。「これほど少額とは衝撃的」
 国立大学が国から受け取る運営費交付金など「基盤的経費」から、大学の研究者に配分する「個人研究費」が減少傾向にあることが文部科学省の調査で分かった。研究者の4割が「10年前より減った」、2割が「半減以下」と回答した。年間金額は6割が「50万円未満」と少額の状態。公募事業など「競争的資金」を獲得しないと、多くの研究者は十分な研究ができない現状が浮き彫りとなった。


 近年、基盤的経費が抑えられ、研究者全体を支える個人研究費の削減が問題になっていたが、実態は不明だった。文科省は7月、科学研究費助成事業(科研費)の採択上位200大学から抽出した各50人にアンケートを実施。回答率36%に相当する3646人(国立大4割、公立大1割、私立大5割弱)を分析した。

 その結果、年間金額が「50万円未満」と答えたのは非実験系で8割弱、研究費がかかる実験系でも5割に上った。分野を問わず全体の8割は「100万円未満」で、教授でも助教など若手でも同様の傾向だった。

 国立大の厳しさも顕著だ。年間「30万円未満」は国立大の研究者の4割で、公立・私立大の各3割より高い。10年前との比較で「減っている」としたのは私立大は3割だったのに対し、国立大は6割だった。

 国立大は運営費交付金削減の影響が指摘されていたが、「これほど少額とは衝撃的」(国立大教授)との見方が出ている。調査結果は、基盤的経費と競争的資金のあり方に関する議論で重要なデータとなりそうだ。
日刊工業新聞2016年8月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
文科省の大学行政に問題があるとはいえ、大学の先生はもっと研究室を飛び出して外でお金を集めましょう。

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