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東芝が荷下ろしロボットに参入。物流現場の仕分け前作業担う

人に頼っているコンベヤーへの投入作業を自動化
東芝が荷下ろしロボットに参入。物流現場の仕分け前作業担う

サイズの違う箱を的確に荷下ろし(ロボットのイメージ)

 東芝は物流分野の荷下ろし作業を自動化するロボットを開発した。台車に積まれたサイズの違う箱の形をセンサーの組み合わせで検知し1個ずつ取り出してコンベヤーに移す。大きさの違う箱を的確に荷下ろしする技術はなく人手に頼っていた。物流現場の仕分け前の作業を担い、労働人口減少と作業負担の大きさから人手不足に悩む物流現場の課題解決に貢献する。

 2017年3月期に製品化し価格は3000万円以内に抑えたいとしている。

 三つのリニア駆動装置で前後、左右、上下方向に真空吸着装置の付いたアームを動かし荷下ろしする。処理能力は人手と同等の1時間当たり500個。現状は重さ30キログラム以下の箱形状のみに対応する。

 ロボットの大きさは幅1メートル90センチメートル、奥行き2メートル80センチメートル、高さ2メートル70センチメートル。構造や動きを簡素化して人の作業スペースと同じ大きさに抑えた。安全性も高め人と同じ作業場で稼働できる。

 レーザーレンジセンサーやカメラなど3種のセンサーでカゴ台車に積まれた箱の位置や置かれ方を把握。スキャンしながら1個ずつ取り出す。

 用途は、コンベヤーで荷物を流しながら箱のバーコードをスキャンして宛先別に仕分ける作業の前工程を想定。大きさや中身の違う箱を1個ずつ台車から降ろす作業なら何でも利用でき、今後は新用途の開拓も進める。パレット積みの荷物にも対応させていく。

 商品化までにモニター企業の作業場で実際に利用してもらい実運用上での課題をつぶし込む。展示会での周知徹底も進める。

 通信販売利用の増加に伴い、物流センターでは扱う荷物の量と種類が急増している。仕分け作業は自動化が進む一方、コンベヤーへの荷物の投入は依然として人手に頼っている。作業者の確保が困難になる中、荷物投入の自動化が課題になっている。

 
日刊工業新聞2016年8月24日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
東芝は荷下しロボット単体の販売だけでなく、物流施設全体の効率化への1要素として、物流システムでの提供も目指す方針だ。物流施設はIoTによる効率化や運営の質の向上が最も期待される分野。電機メーカーや情報通信系の企業がソリューションを打ち出す中で、東芝がロボット技術を使いどこまで存在感を出せるか、注目だ。

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