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重要技術の流出を防げ!軍民両用のデュアルユースなど産業マップ構築

経産省、サプライチェーンを可視化。特定技術への支援策も
 経済産業省は産業競争力や安全保障にかかわる重要な民生技術の海外流出防止に向け、産業マップを構築する。材料やデバイスなど、軍民両用のデュアルユースが広がる中、外資による企業・事業の買収などを通じて、重要技術が意図せず流出する可能性がある。経営状況を含めて国内企業の情報収集を進め、特定技術への支援策も検討し、海外流出などによる産業基盤が失われることを避ける。

 2017年度予算の概算要求に盛り込む方針。産業マップは重要な民生技術を特定し、サプライチェーンを可視化する。

 現状は、外国為替及び外国貿易法や不正競争防止法により、安全保障上懸念のある技術の海外移転や営業秘密、技術情報の流出を管理している。ただ、技術の高度化に伴い、想定外の分野での活用・発展が増える見通しだ。

 経産省は防衛装備庁との情報交換や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所(産総研)などと策定した技術戦略をたたき台とし、安全保障や産業競争力に資する重要技術を設定する。その上で関連する企業に対する聞き取り調査などを実施し、経営情報を把握する。

 国際動向も調べ、相対的に技術の重要性や競争力を分析する。必要であれば研究開発や設備投資、市場開拓などを支援することで、国内産業の製造・技術基盤を維持、強化する方針だ。

 これまでも同様の調査を進めてきたが、サプライチェーン全体の実態把握は難しかった。経産省は15年に、製造産業局に製造産業技術戦略室を設置。技術視点で同局横断の産業活性化戦略立案に乗り出した。ここに安全保障の切り口を加えた格好だ。
日刊工業新聞2016年8月24日
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
サプライチェーンの可視化は、もちろん技術流出の防止の役割も果たすだろうが、それより日本に集積しているサプライヤーを結ぶIoTの構築により在庫リスクを減らし競争力を高める上で是非とも進めるべきだ。

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