おもろい大学でおもろい研究を

京都大学の山極寿一総長インタビュー

京都大学総長・山極寿一氏

 自由な学風を育み、創造的な学問を探究してきた京都大学。その伝統を継承・発展させつつ、未知の世界に挑戦できる野性的で賢い学生を育て送り出そうと、指針として「WINDOW構想」を掲げた。大学を社会や世界に開く「窓」と位置づける。この構想をふまえて第3期中期計画を策定。構想を掲げ改革を進める山極寿一総長に思いを聞いた。  ―構想や中期計画などにかける思いは。  「学生を主役にした大学にする。人々との対話を通じて知識や経験、考え方を学んでほしい。研究は大学の力ではなく、個人の大きな力とアイデアにより進む。他大学とは競争よりも協力しながら、個人の研究を伸ばす役割を果たしていく」  ―ユニークな発想が伝統です。主役の学生に求める研究は。  「関西弁の『おもろい』研究。関西では『おもろいな』の後に『ほな、やってみなはれ』と続く。自分ではなく他人がおもろいと評価し、周囲の期待を集めながら実装していく研究という意味。未来の人が評価するという意味もあり、文明の転換点となるような変革を目指してほしい」  ―おもろい研究はどのように生まれるのでしょうか。  「同じ分野に閉じこもっていては生まれない。本学は多くの研究科や研究所があり、学問の多様性では日本一。それらの異分野を交流させて新しい発想を作り上げる」  「そのためには現状の理解や批判力も必要で、対話から鍛えてほしい。国際化も重要だ。4月に設置した世界の最先端研究のハブとなる高等研究院や、海外拠点を活用して共同研究などを進める。新しい風を入れて革新性を生み出していく」  ―産学連携での対話や新しい風は。  「本学に満ちあふれる多様なアイデアと企業の製品感覚をうまく連結させる。そのために研究者の相互乗り入れや、学生や研究者が産業界の最前線を学ぶ機会を企業と協力して設けていきたい。共同開発では製品がもたらす意味や社会への影響まで考えてほしい」 【記者の目/革新起こす学生の育成を】 対話を根幹とした「自学自習」が伝統だが、インターネットの普及で対話はおろそかになりがちだ。ゴリラ研究の第一人者の山極総長は言葉を話さないゴリラから、体験の共有など身体的感覚も含めた対話の重要性を学んだという。積極的な対話で革新を起こす学生を育て、「窓」から送り出してほしい。 (聞き手=大阪・吉岡尚子) 【略歴】 山極寿一(やまぎわ・じゅいち)80年(昭55)京大院理学研究科博士後期課程研究指導認定退学。88年京大霊長類研究所助手、98年理学研究科助教授、02年教授、11年理学研究科長・理学部長、14年総長。東京都出身、64歳。

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