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本物そっくりの段ボール家具、賃貸モデルルームに置くと成約率が上がる不思議

明治大と第一ハウジング、産学連携で成果
本物そっくりの段ボール家具、賃貸モデルルームに置くと成約率が上がる不思議

机をはじめテレビや棚などの段ボール製家具を設置した賃貸物件(明治大提供)

  新築物件のようなモデルルームを、賃貸物件でも低コストに―。明治大学理工学部建築学科の園田眞理子教授の研究グループは、賃貸住宅の空き部屋に設置する段ボール製家具の設計を手がけている。家具の種類は机やベッドなどさまざま。実際に家具としては使用できないが、部屋を内見する際に生活をイメージしやすい製品として好評だ。

  設計・開発に関して園田教授が協力しているのが、不動産会社の第一ハウジング(川崎市幸区、加藤豊社長)。連携のきっかけは、川崎市の住宅政策審議会で同社の加藤豊社長と園田教授が知り合ったことだった。

 加藤社長はもともと、空き物件に家具などをコーディネートする演出手法「ホームステージング」に注目していた。しかし、家具の搬入や搬出などにコストや手間がかかるのが難点だった。

 そこで園田教授に相談したところ、段ボールで家具を製作することによって低コスト化や搬入作業の効率化につなげる手法の提案を受けた。実際の物件で、園田教授の研究室の学生らとともに部屋の演出に取り組んだところ、「部屋の大きさに家具の寸法がきちんと合わせてあり驚いた」(加藤社長)と精巧ぶりにも感心した様子。

 現在は、園田教授の段ボール製家具を住宅の賃貸を手がける14の不動産会社が導入している。半年程度にわたり契約が成立しなかった物件の部屋に段ボール家具を設置したところ、2週間で成約できたこともある。

 加藤社長は「大学と連携し、知恵をもらえた」と話す。一方、園田教授は「企業と組むことで新しいことに挑戦できる」とし、両者とも産学連携の意義と効果を強調する。
日刊工業新聞2016年8月18日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ただの飾りではなく、借り手が実際に住むイメージを持つことができるため、成約率の向上につながるとみられます。

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