トヨタが宮城・大衡村で仕掛ける「ミニ電力会社」

ガスコージェネを中核に工業団地の省エネを実現。スマートコミュニティー好事例になるか

F-グリッドの概要

 トヨタ自動車が宮城県大衡村で2013年春に稼働した工業団地型スマートコミュニティー「F(ファクトリー)―グリッド」が想定以上の成果をあげている。トヨタ主導の“ミニ電力会社”が団地のエネルギー使用を21%抑えた。トヨタは大衡村の知見を生かし、他の工業団地にもF―グリッドを広げる方針だ。  トヨタはトヨタ自動車東日本をはじめとする第二仙台北部工業団地への進出企業など10社と有限責任事業組合を結成。同組合が団地に設置した出力7800キロワットのガスコージェネレーション(熱電併給)システムがF―グリッドの中核だ。  【自営線を敷設】  団地内に自前の電線(自営線)を敷設。組合が東北電力からまとめて受電し、コージェネの電力と組み合わせて自営線で各工場に送電する。組合は発電から送電、配電まで行うミニ電力会社だ。電力の供給側と需要側の関係性が深いと認められる電気事業法の「特定供給」制度を活用した。  現在コージェネは電力を5社、熱を2社に供給している(※いずれも掲載時)。電力、熱ともまとまった供給先があり、コージェネを高効率で運転できるのがF―グリッドの強みだ。各工場が個別に受電し、ボイラを運転するのに比べエネルギー使用量を21%減らした。  トヨタは電力供給先が7社になった時点で21%減を見込んでいた。上々の滑り出しにトヨタ新事業企画部の等哲郎企画室長は「ほぼ計画どおり」と胸を張る。順調な運転に自信を深め、電力の供給先が7社になる11月以降のエネルギー削減見込みを当初比2ポイントアップの23%減に修正した。  【運転を微調整】  地域エネルギー管理システム(CEMS)もF―グリッドの武器だ。CEMSはコージェネと電力会社からの電力の割合を決める“頭脳”。時系列の各工場の電力需要の予測値、コージェネのガス代と運転効率、電力会社の電力料金を組み合わせ、常にエネルギー費が最小になるようにコージェネの運転を微調整している。各工場は通常より安い電力を購入している。CEMSは進化中で、生産計画に基づくエネルギー需給計画の精度を高め、電力ピークに備えたコージェネの余分な稼働を抑える。  【モデルを応用】  等室長は「トヨタ進出の工業団地にCEMSを横展開したい」と話す。新設の団地にはコージェネを核とした大衡村のモデルを応用できる。既設の団地には各工場に設置済みの自家発電機をネットワーク化し、CEMSで連携制御して運転効率を高めることを想定する。東北発の工業団地型スマートコミュニティーが広がりそうだ。 ※「スマートコミュニティJapan2015」が6月17日に開幕します(会場=東京ビッグサイト)。昨年の「スマートコミュニティJapan2014」で掲載したスマートコミュニティーの事例を随時紹介していきます。

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