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電気代の低減と省エネの両立可能か?

エネルギーミックス、温室効果ガス排出削減目標の議論を振り返る
電気代の低減と省エネの両立可能か?

コストの議論が尽きない風力発電

 4月末から5月2週目にかけて、エネルギーミックスや温室効果ガス排出削減目標にかかわる政府の審議会、シンポジウムを立て続けて聴講しました。委員、講演者の顔ぶれが変われば会場の雰囲気も変わることを改めて実感しました(ある会場では電力コストが優先、ある会場では温暖化対策が優先という具合に)。

 委員、講演者の意見を拝借しながらですがエネルギーミックス、温室効果ガス排出削減目標の議論ポイントと感じたことを改めてまとめてみました。

 1)電気代の低減と省エネは両立できるのか?
電気代が高くなるほど、人はコストを下げようと省エネに熱心になります。エネルギーミックスの政府原案では発電コストの低減と省エネを両立させることになっています。電気代は発電コストで決まります。発電コストを下げながらの省エネは「前例のない挑戦」だそうです。

 2)再生可能エネルギーのコストは高いの、安いの?
非常に議論になっていました。再生エネは導入にコストがかかり、太陽光や風力なら使いこなすためにもスマートグリッドなどの設備投資が必要です。再生エネの導入支援のために電気代に上乗せされている賦課金も国民負担となっています。

 一方で長期でコストを考えるべきという声も聞かれました。火力発電は現時点で低コストですが常に燃料が必要で、しかも燃料価格は上昇傾向にあります。バイオマス発電をのぞく再生エネは燃料費がかかりません。しかも年々、生産コストが下がっています。
 「再生エネにかけるコストは本当に不必要なんでしょうか」という意見もありました。また再生エネの比率が低いためにスマートグリッドの開発が停滞し、日本勢がビジネスで出遅れると心配する意見もあります。

 3)審議会方式は限界?
 経産省や環境省に設置する審議会でエネルギーや温室効果ガス削減目標を議論することは限界と感じている人が多いようです。各組織から独立した機関で議論すべきだという提案を聞きました。振り返ると民主党は経産省から独立した会議でエネルギー政策を議論しました。国民から意見を聞く会もあり、関心が高かったです。民主党が良い悪いは別として、参考にすべき点はあると思いました。
ニュースイッチオリジナル
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
委員、講演者によっては組織を背負っている方もいて主張はなかなか譲れません。同じ議題でも分析手法や参考データが違うと結論も異なります。私は再生エネを応援しています。

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