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日米特許庁、公開前特許を共同審査。1次審査、6カ月以上短縮へ

 特許庁と米国特許商標庁は、公開前の特許出願に対し、企業による日米共同審査の申請を受け入れることで合意した。8月から実施する。両庁は2015年から日米に出願された発明をそれぞれの特許審査官が調査・見解を共有し、最初の結果判定までの期間を大幅に短縮する取り組みを始めた。公開前出願も対象とすることで申請から1次審査結果を得るまでの期間が実質6カ月以上短くなる。特許出願の多い日米が歩調を合わせ、企業の国際展開を後押しする。

 従来、企業が共同審査の枠組み「日米協働調査試行プログラム」を利用するには、両国で出願公開する必要があり、どちらかの出願から18カ月経過するまで申請できなかった。

 パリ条約に基づき特許庁に特許出願をした上で優先権を主張すると、最初の特許出願日から1年以内に同盟国に特許出願したのと同様の扱いを受けられる。その後、出願公開まで約半年を要する。今回の要件緩和で、公開を待たずに、出願した時点で申請できる。

日刊工業新聞2016年7月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
意義深い取り組み。企業が特許出願した発明について、1次審査の通知を得るまでの期間(2014年平均)は日本で9・3カ月、米国では18・1カ月を要しているという。企業の国際展開が加速し、海外の製造・販売拠点で安定した特許権を早期取得する必要性が高まる中、日米当局は昨年、調査情報を共有し、作業を効率化することで1次審査結果までの期間を6カ月に短縮するとともに、結果を同時に出す世界初の試みを始めている。それにしても最近は主要当局の連携が進んでいる印象。

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