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長崎・五島市沖の海底で、出力2000kw級の潮流発電実証

九電など参画する地場企業の狙いは
長崎・五島市沖の海底で、出力2000kw級の潮流発電実証

実証試験を行う発電機

 九州電力グループや新日鉄住金エンジニアリング(東京都品川区)など4社・団体は26日、潮流発電の大規模な実証事業に共同で取り組むと発表した。長崎県五島市沖の海底に出力2000キロワット級の大型潮流発電機を設置して運用し、日本近海の海象や技術基準に適合した潮流発電技術の確立を目指す。

 商用規模の発電機を使う実証事業は国内初。環境省の委託事業として、2019年度まで4年間行う。初年度は9億円を上限に、国が事業費を投じる計画。

 実証に使う潮流発電機の設備利用率は30%を想定。この場合、年間の発電量は500万キロワット時になる。これは一般家庭約1400世帯の年間電力使用量に相当する。

 九電グループの九電みらいエナジー(福岡市中央区)、新日鉄住金エンジニアリングのほか、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会(長崎市)、オープンハイドロ・テクノロジー・ジャパン(東京都港区)の4社・団体が共同事業体として実証に取り組む。九州大学や長崎大学も技術面で助言などを行う。

 オープンハイドロのアイルランド本社が開発した世界最高出力の潮流発電機を使い、電気の品質管理や発電量予測、保守・管理、環境への影響などに関する知見を蓄える。潮流発電分野で先行する欧州の技術を基盤に、日本の技術基準や環境に適合した発電技術の実用化を急ぐ。
日刊工業新聞2016年7月27日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
政府が指定した「海洋再生可能エネルギー実証フィールド」を使う事業。また長崎は「ながさき海洋・環境産業拠点特区」として、基幹産業の造船など重厚長大型の既存技術・人材を生かしつつ、成長分野であるエネルギー分野へ参入を狙っている。 地元側の目線で見れば、今回のような実証試験を通じて海洋エネ産業(周辺分野を含む)に参画するチャンスをつかむのが目的。今回も地元の協議会が名を連ねているが、「共同事業体」の中にどれだけ食い込み、ノウハウを蓄積できるかが注目。

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