「チャットボット」はどう進化していくのか

日本は音声よりテキスト対話が普及!?社会を効率的に動かすツールに

Microsoftの女子高生AIりんなの公式アカウント(Twitterより)

 2016年は“ボット”元年とされる。ボットとは、広い意味では人間がコンピューターを操作して処理していた作業を代行するプログラムを指す。人工知能(AI)の一種とされ、自然な会話による柔軟なやりとりや、相手の意図を推定して目的の行動に早く導くことが特徴となる。すでに世界はボットブームで、ボットが社会を効率的に動かすツールとして活躍し始めた。  いま世に出ているものは大まかに2種類あり、ブームになっているのは「チャットボット」。テキストや音声で自動対話するソフトウエアロボットだ。  米アップルの「Siri(シリ)」や、同マイクロソフトの女子校生AI「りんな」が代表的な存在となる。近年、企業の参入が相次ぎ、チャットボットで自然な対話をしつつ商品を買ったり旅行プランを決めたりできるようになった。  もう一つが、米アマゾンが発売したAI付きスピーカー「Echo(エコー、日本未発売)」のような音声アシスト機能。音声対話による問いかけで好きな曲をかけたり天気を教えてくれたりする。日本ではコミュニケーションロボットに使われる技術だ。  チャットボットはこれまで膨大な対話シナリオを、人手によりボットのプログラムに書き込む必要があった。だが、16年3月に米フェイスブックやマイクロソフト、LINEがチャットアプリの開発環境を提供し始めたことで大きな手間がなくても導入できるようになり、企業がサービスとして利用する間口が広がった。  日本でも15年9月にカラフル・ボード(東京都渋谷区)が対話形式で服を選んでくれる「SENSY(センシー)」を開始。16年5月にはアスクルがECサイト「ロハコ」の問い合わせをチャットボットにするなどの取り組みが始まっている。  変わり種ではSubot(スーボット、同)が5月に提供開始した「スーボット」は、会社などのチームでの作業を手伝う。チャット画面からメンバーのスケジュールを聞くと答えてくれ、会議の候補を出すと調整してカレンダーに入力してくれる。現状の商取引やサービスの多くがチャットボットに移行すれば膨大な市場になるだろう。  エコーは純粋な音声対話で、選曲、ピザの注文、家電の操作などができ、14年12月の発売以降、累計300万台のヒットとなった。この音声対話によるアシストは日本ではロボットに搭載されるとみられる。人間1人につく秘書役としてボットが進化すれば、社会に不可欠な存在になる。 三菱総合研究所・事業開発部門統括室副統括室長 比屋根一雄氏  ―ボットの魅力は。  「サービスの購入先がアプリストアからボットストアに移る可能性がある。フェイスブックやLINEの存在感が高まるだろう。音声対話によりユーザーも広がるし、家電などの機器の使い勝手も高まる。ビジネスでも業務改善が期待できる」  ―既存のサービスとの違いは。  「いつでもすぐに返事がくる。かつ普通に会話しているのと一緒の感覚で指示できる。キーボード、マウス、タッチパネルとインターフェースが進化してきたが、音声対話が次世代のインターフェースになる」  ―技術的な課題は。  「AIの進化は必須。相手の意図を的確に先読みする機能はまだまだだ。あとは雑踏でもしっかり声を聞き取る機器も求められる」  ―日本の企業はボットとどう付き合うべきでしょうか。 「日本では音声よりテキスト対話が普及するのでは。日本ではスマートフォンに話しかける人が少ない。音声対話が文化として定着するには時間がかかる。それはそれで、優秀なアプリケーションが開発できれば日本の企業もボットで勝者になれるだろう」 (聞き手=石橋弘彰)

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