ニュースイッチ

会計ビッグデータは中小企業融資の低コスト化を実現するか

住信SBIネット銀、アカウンティングとフィンテックで提携
 住信SBIネット銀行(東京都港区)は、税理士事務所向けクラウド税務会計システムを手がけるアカウンティング・サース・ジャパン(東京都港区)と業務提携する。税理士を介して蓄積した会計データを活用した個人事業主向け融資など新サービスを開発する見通し。金融とITを融合する「フィンテック」で、手薄だった個人事業主や法人の需要を深耕する。

 住信SBIネット銀は、アカウンティングのシステムから得た会計ビッグデータを活用する。商品の販売状況や入出金の情報など日々の取引情報をベースにした融資などが候補になっている。

 住信SBIネット銀は2015年8月に「フィンテック事業企画部」を新設。個人向け自動家計簿・資産管理サービスを手がけるマネーフォワード(同)と業務提携した。

 16年5月にはマーケティングや与信モデル構築のためにデータ分析などの高度化を図る「ビッグデータ部」やインターネット上での取引履歴を根拠とした融資開始を目的とした「トランザクションレンディング準備室」を設立した。フィンテック事業を住宅ローン、カードローンに続く事業領域に育てる。

 アカウンティングは6月に、横浜銀行や東京大学などと産学連携によるコンソーシアムを結成。会計ビッグデータや統計学、人工知能(AI)などを活用し、低コストで融資できる審査モデルの構築を目指すなど、中小事業者の経営を資金面から支援する動きを始めている。
日刊工業新聞2016年7月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
税理士事務所向けクラウド税務会計システムに蓄積されたデータを与信の判断材料に活用する試みです。税理士というフィールターを通している分、中小企業の財務データの信頼性はある程度高まると考えられます。ただし、税務申告のためのデータだけでなく、調達先への支払いや売掛債権の回収状況といった資金繰りも把握する必要があるでしょう。

編集部のおすすめ