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特許庁、海外特許の日本語検索を実現。世界8割をカバー

日本主導で5カ国のシステム連携を進める
 特許庁は米国や欧州、中国、韓国など海外の特許審査に関連する情報(ドシエ情報)を一般ユーザーが日本語で一括検索できるシステムを完成し、近く運用を始める。企業の知的財産担当者や弁理士がPCT(特許協力条約)国際出願を含め、各国の手続きや審査状況について世界の8割超の情報がワンストップで得られる。グローバル化の進展で、国内外での知財戦略の重要性が高まっており、情報検索の一段の利便性向上が望まれていた。

 特許庁の特許情報プラットフォーム(J―PlatPat)の機能を拡張し、五大特許庁(日本、米国、欧州、中国、韓国)、世界知的所有権機関(WIPO)が開発したドシエ情報共有システムを接続する。探したいパテントファミリー出願の出願番号、公開番号などを入力すると、ドシエ情報や引用文献情報などを参照できる。

 各国のドシエ情報の英訳も提供される。例えば中国への出願に対する拒絶理由通知書について中国語と英語で取得できる。WIPOの共有システム参加庁を含めたドシエ情報の一括提供は初という。現時点で同参加庁24カ国・機関のうち、一般提供を許諾しているのはカナダ、WIPOだけだが、今後は一層の拡大が期待できる。
日刊工業新聞2016年7月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
特許出願件数は日・米・欧・中・韓で世界の約8割を占め、日本主導で5庁のシステム連携を進めてきた。特許庁が受理したPCT国際出願は2015年に4万3097件(前年比4・4%増)と過去最高を記録。日本居住者による世界での同出願件数は米国に次ぎ2位を維持している。

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