カルビー、売ってるのはポテチだけじゃない!CO2クレジット売買で地域活性化

取引実績は500件を超える

カルビーのCO2排出権取引サイト「EVI」

 カルビーが中心となり、森林整備で生まれた二酸化炭素(CO2)排出権(クレジット)を取引するサイト「EVI」を運営している。クレジット売買の仲介にとどまらず、地方発の商品の魅力を高めたり、道の駅のデザインを手がけたり、EVIの役割が広がっている。森林保全や農業と地方の活性化など、相乗効果を生む基盤となり、取引実績は500件を超えた。  EVIで扱うのは、森林整備で創出されたクレジット。森林にはCO2を吸収し、温暖化を緩和する役割がある。植林や間伐などに取り組んで増加したCO2吸収量がクレジットとなる。  EVIで売られているクレジットにはどの森林で、どのような活動によって創出されたかが記載されている。購入したクレジットは商品の生産や使用で発生するCO2をゼロにするカーボンオフセットに活用できる。2011年の開始から554件の売買が成立し、5401トン分のCO2が取引された。国分、森永乳業など50社以上が参加する。  「森のクレジットが売れないのはなぜか」。カルビーの加藤考一カルネコ事業部長は、EVIを始めるきっかけとなった思いを語る。クレジットの売却益を当てにする森林事業者は多いが、常にクレジットが売れ残っている。クレジットが売れないと、森林整備が滞ってしまう。  そこで「クレジットを売る手伝いをし、森にお金が回るようにしたい」(加藤部長)とEVIを始めた。  そのEVIにはカラートマトやめかぶなどの農産物や海産物が掲載されている。どれもクレジットを活用したカーボンオフセット商品だ。  カーボンオフセット商品が売れると、カーボンオフセットのためにクレジットの需要も生まれる。そうなるとクレジットが売れて森林整備に資金が回る。この循環を生み出す仕掛けがEVIだ。  起点となる商品作りの支援がカルビーの新規事業となっている。秋田県八峰町産の規格外の「菌床しいたけ」は「八峰美人」の商品名やパッケージ作りで協力した。環境に貢献する商品なら高くても購入する消費者が多い。カルビーはコンセプト作りから助言し、商品の魅力を高める。ここに、ポテトチップスなどの商品作りのノウハウが注ぎ込まれている。  商品の支援をきっかけに鳥取県日南町の道の駅のデザインにも携わった。「我々の力は農業や地方活性化にも役立つ」(同)と自信を深める。  6月から省エネルギー機器の導入で創出されたクレジットを取引するサイト「JCCP」も立ち上げた。EVIの知見を生かし、クレジット取引以外の付加価値も追求する。 (文=編集委員・松木喬) 日刊工業新聞2016年7月6日 素材・ヘルスケア・環境面  カルビーはカーボンフリーコンサルティング(横浜市中区、中西武志社長、045・222・3400)と連携し、二酸化炭素(CO2)の排出削減量(クレジット)取引を仲介するウェブサイトを立ち上げた。削減活動で創出したクレジットを専門業者以外が主体となって仲介するのは初めて。削減量が少なく取引しにくいクレジットと、少量でも購入したい企業をマッチングし、取引を活性化させる。  サイト名は「JCCP」。国の「J―クレジット」制度を活用し、中小企業や自治体が省エネルギー機器を導入して創出したクレジットを扱う。売却希望者はクレジットに価格を付けて掲載する。  J―クレジットの既存サイトは、価格を応相談と表示しているクレジットが大半。このため購入者は価格を問い合わせるのが手間だった。売却側も問い合わせへの応対が不要で、気軽にクレジットを販売できる。  カルビーは森林整備で創出したクレジットを扱うサイトを運営している。クレジット売買に関わった企業の商品デザインを支援する事業も手がけており実績ができたため、企業活動によるクレジット販売にも乗り出す。  サイトのオープン当初はクレジット仲介業のカーボンフリーが保有するクレジットを売り出す。同業者の掲載も可能。  温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の採択で、大口クレジットは、発電に伴う排出量を減らしたい電力事業者からの引き合いが急増している。 日刊工業新聞2016年6月9日 総合1面

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