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働く女性の4割を悩ませる頭痛、「緊張型」の原因と処方箋

 仕事が忙しくなると頭痛に見舞われる―。こうした経験を持つビジネスパーソンは少なくないだろう。日本人に多い頭痛のタイプには緊張型頭痛と片頭痛があり、片頭痛の患者の大部分は女性であるとされる。企業や団体で活躍する女性が増える中、病態の理解や適切な対処が望まれている。

 「いま、女性活躍社会ということで、第一線で男性勝りの働きをなさる方が増えてきている。そうした女性に多い頭痛に対して、適切な対処が必要になる」。こう指摘するのは、東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来の清水俊彦客員教授だ。第一三共ヘルスケア(東京都中央区)の調査でも、自身のことを“頭痛持ち”だと考えている働く女性は全体の41・2%。女性の管理職では56・0%に上るとの結果が出た。

 日本人の頭痛の半分以上は、頭の周りが締め付けられるように痛む緊張型頭痛であるとされる。だが清水客員教授によると、女性に多いのは片側のこめかみが脈打つように痛む片頭痛。「一度起こると長くて約3日続く。光や音、匂いに過敏になるなど痛み以外の症状も出る」ため、当事者の苦痛は大きい。

 こうした状況もあり、製薬各社は一般用医薬品の頭痛薬で鎮痛効果を高めた製品を訴求する。エスエス製薬(東京都中央区)「イブクイック」やライオン「バファリンプレミアム」、第一三共ヘルスケア「ロキソニンSプレミアム」は、いずれも速い効き目と胃への負担軽減を狙った。

 アルコールの摂取に伴う頭痛に着目したのは小林製薬。この対策薬「アルピタン」を10月に発売する。企業などで働く女性は飲酒の機会も多いと推測されるだけに、製品の需要を後押しするかもしれない。
(文=斎藤弘和)

専門医は語る


東京女子医科大学脳神経外科頭痛外来客員教授 清水俊彦氏「我慢せず薬の服用を」
 片頭痛の起こる仕組みを説明する。ストレスや月経、環境変化などで血小板からセロトニンという物質が放出され、脳の血管がそれに反応してギュッと縮まる。ところがセロトニンは、血液中で代謝されていずれは消えてしまう。セロトニンが少なくなると今度は脳の血管が異常に膨らんでしまい、血管の周りにある三叉神経が刺激されることで痛みにつながる。片頭痛の患者の8割以上は女性だ。緊張型頭痛は筋肉の血行が悪くなることで起きるため、お風呂に入ってリラックスすると痛みが和らぐ。

 だが片頭痛は体を温めると余計に血管が拡張して痛みが強くなるので、頭を冷やすと良い。微糖の缶コーヒーを飲んで糖分やカフェインを採ると血管が縮み、楽になることもある。痛みが引かない場合は我慢せずに薬を服用することも大切だ。(談)
日刊工業新聞2016年7月14日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近肩こりが激しいが不思議と頭痛にはならない。男女差はどこに?

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