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お手頃価格で遺伝子診断。中小病院の需要取り込む

PSSが小型装置を投入。デング熱やジカ熱の試薬開発も迅速に
 プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)は、医療機関向け小型全自動遺伝子診断装置「ジーンリード8」を9月をめどに市場投入する。遺伝子診断装置は1000万円以上が一般的だが、半額程度まで価格を下げ、中小病院での導入を可能にする。当初は研究機関向けに販売するが、医療機器として販売するのに必要な規格を取得でき次第、医療機関に提案していく。

 新製品は従来品の「ジーンリード」シリーズをベースに開発し、1度に作業できる検体数は8体。幅35センチ×奥行き65センチ×高さ65センチメートル程度まで小型化した。

 より多くの検体処理が必要な場合を想定し、2台を重ねられる設計にした。1台のパソコンで最大6ユニットのジーンリードを制御するシステムも現在開発中だ。

 操作も容易で、検体をセットしてから1時間程度で診断結果が出るため、感染症などの診断を迅速化する。

 ジーンリードは、デオキシリボ核酸(DNA)抽出から増幅、検出までを全自動で行う。感染症の細菌やウイルス検出、遺伝子変異によるがん診断などの遺伝子検査が短時間で行える。現在は検体数が1体と12体の2種を販売。研究機関を中心に、大病院や血液検査センターなどでも採用されている。だが、中小病院では価格やサイズが障壁となり、遺伝子診断装置の導入事例は少ない。

 販売は当初、アジアを中心に行う。熱帯・亜熱帯地方ではデング熱やジカ熱など特有の感染症も多い。この確定診断向けに遺伝子診断装置の需要が高く、病院での普及が早いと判断した。アジアで特に多い疾病の確定診断用試薬の開発にも今後力を入れる。

(市場投入する「ジーンリード8」)
日刊工業新聞2016年6月9日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
これから需要が増えそうな診断装置です。検体をセットしてから1時間程度で診断結果が出るため、感染症などの診断を迅速化できるといいます。

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