ニュースイッチ

メガバンク目線の関西活性化とは

福本MUFG副頭取「7年前の大阪勤務時代に比べれば活気がある」
 三菱東京UFJ銀行(MUFG)の西日本(大阪)駐在最高責任者に福本秀和副頭取が就任した。グローバルに展開するメガバンクとして、足踏み状態にある関西経済をどのように活性化していくのか。福本副頭取に地域に密着した取り組みなど今後の展開について聞いた。

 ―関西地区の経済環境および顧客の景況感をどう見ていますか。
 「為替の円高水準に加え、先行きの不確実性を踏まえれば企業家のベクトルの変化はやむを得ない。ただ売り上げや利益水準は決して悪くない。多くの顧客を訪問したが、7年前の大阪勤務時代に比べれば活気がある。今後は中堅・中小企業のさらなる活性化へ全面的に支援していく」

 ―MUFGでは地域活性化にどのような役割を果たせますか。
 「ベンチャー企業および成長産業を支援し地域を元気にする仕組み作りを実践する。医療や医薬、健康分野など関西に優位性がある新産業創出の一端を担いたい。また関西で旺盛なインバウンド(訪日外国人)需要に対しては、食や文化遺産を前面に掲げ宿泊施設や物流関連の資金需要に応える」

(福本副頭取)

 ―地方再生の取り組みは。
 「各自治体と連携し2015年に創設した2000億円規模の『MUFG地方創生ファンド』をベースに、資金と情報の両面で支援する」

 ―関西企業を支える上で、グループの海外銀行はどのように活用していきますか。
 「関西企業は中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)との結びつきが強く、進出企業も多い。そこでアジア中心に環太平洋に広がる当行の拠点網を活用し、進出支援だけでなく、それぞれの国での販売金融や決済などのサービスも提供する。日系企業と現地企業とのマッチングなど、多様なニーズにも応えていくつもりだ。一方で、新分野への挑戦で課題を持つ大手企業とアイデアを有する中小企業との橋渡しなどにも力を入れる」

【記者の目・中小支援の取り組みに注目】
 MUFGは中小企業取引の専門子会社「三菱UFJフィナンシャルパートナーズ」の関西営業拠点を、大阪1拠点から3拠点(大阪2、京都1)に拡大した。さらに営業担当者に経験豊かなOB社員を活用し、事業承継や資産相続など融資以外の商機も探る。地場の金融機関の動きも強まる中、メガバンクの中小企業市場への取り組みが注目される。
(文=大阪・由賀徹)
日刊工業新聞2016年7月8日 中小企業・地域経済面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
地銀の役割を肩代わりするのではなく、メガバンにしかできない地域活性化を見せてほしいです。

編集部のおすすめ