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下町ボブスレー「間口広く、来るもの拒まず」

プロジェクト推進委員会の西村副委員長に聞く
下町ボブスレー「間口広く、来るもの拒まず」

エースの西村修社長

 エースの西村修社長は下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会の副委員長。ソリの製造を取り仕切っている。各種部品製造のほか、設計された部品の図面を各企業に振り分ける。ソリ製造の今後を聞いた。

―製造の上で課題となっていることは。

「1社ずつの負担が大きい点だと感じている。特に大きな部品や複雑形状の部品は加工する会社が固定されている。今回は4台のソリを同時に製造する。その他の部品も多くの参加企業で分担し、各社の負担を減らしていきたい」

―参加にメリットはありますか。

「“ボブスレーのソリ”という分かりやすいモノを見せて技術力をアピールできるようになる点だ。大田区内には、持っている技術が説明しにくい、また契約によって見せられないという企業も多い。実際に見せて説明できる道具ができるのは大きい」

―今後の製造業には技術力のアピールも必要ですね。

「すごい技術を持っていても、知られなければ仕事は来ない。下町ボブスレーは会社の技術、知名度を上げる大きなチャンス。当社も知名度が上がったことで、仕事が増えたという側面がある」

―参加を考えている企業に伝えたいことは。

「当プロジェクトは入り口が広く、再度の参加も新規の参加も大歓迎だ。開始当初とはだいぶ状況が違うが、今更と思わず、ぜひ参加してほしい」

【「加工業の何でも屋」】
 エースの主力は自動車および関連部品メーカー向けの専用機や鉄道関連部品の製造。社内にはマシニングセンター(MC)のほか、3次元測定機など各種機械がそろう。また全国300以上の企業とネットワークを構築しており、さまざまな依頼にワンストップで応えられる。

 ただ、加工を外注しても、品質保証には手を抜かない。工程ごとに担当する会社が変わる場合、一つの工程が終わるたびに同社で検査を実施する。また町工場ながら4人が営業担当社員。「加工業の何でも屋」として、技術力と営業力を高めている。
日刊工業新聞2016年7月6日 中小企業・地域経済面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 プロジェクト参加企業は日々の仕事をこなしつつ、ボブスレーの製作にも取り組まなければなりません。西村社長の言うように、1社当たりの負担軽減がプロジェクトの円滑な継続のカギとなってきそうです。

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