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カフェを研究者育成の“トキワ荘”に―18年度に博士研究者雇う

カフェを研究者育成の“トキワ荘”に―18年度に博士研究者雇う

かつて漫画家を志す若者が集まった“トキワ荘”のように研究者を呼び込む

 研究者出身の社長が若手研究者のための“トキワ荘”を誕生させた。研究者の研究環境支援を手がけるラプソドス(東京都大田区、川口卓志社長、03・6868・5449)が大田区内にカフェ「ToiToiToi(トイトイトイ)」を開いた。将来的にカフェなどの利益で博士研究者を雇う構想を持つ。川口社長は「大学研究者のポストは限られており、研究続行を断念する人も多い。この現状に一石を投じたい」と狙いを明かす。

 ラプソドスの初年度売り上げ目標は3000万円。カフェ運営に加え、コーヒー豆の家庭用焙煎(ばいせん)機の開発にも取り組んでおり、年内の発売を目指す。2017年度中に研究助成金(100万円)を提供する取り組みを始め、18年度には博士研究者を雇いたい考えだ。

 「トイトイトイ」には通常のカフェでありながら研究が自由にできる環境を整えた。壁はホワイトボードになっており、数式や図を書きながらグループワークができる。訪れた客が議論に飛び入り参加することも可能だ。川口社長は「将来は学術誌を発行してカフェで販売したい。研究内容を周知できれば」と期待をこめる。

 川口社長は東京工業大学大学院博士課程を修了後、質量や重心の位置、物体の回転しにくさを表す慣性モーメントを測る計測器を販売するレゾニック・ジャパン(横浜市緑区、045・530・3780)を13年に設立した。同社の経営が軌道に乗ってきたため、研究育成会社のラプソドスを15年12月に設立した。
日刊工業新聞2016年7月1日 中小企業・地域経済1面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
カフェで仕事や勉強をする人は多いですが、本格的な研究者とはあまりイメージが結び付きませんでした。しかしさまざまな人との交流が生まれる場所なので、研究にも刺激があるかもしれません。

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