「夕方以降の会議はやめます!」霞が関が今夏から朝型勤務へ!

旗振り役は模範になれるか?「仕事以外の経験を通じ、能力を高める努力を」(経産事務次官)

霞が関の「不夜城」のひとつ、経済産業省

 今夏―。政府は国家公務員の働き方改革に乗り出す。全省庁で始業時間を1時間から2時間程度早める朝型勤務を推進。期間中は夕方以降に会議しないなどの取り組みを徹底し定時退庁を促す。  慢性的な長時間労働は官民問わず日本全体の問題だが、とりわけ子育て世代の男性が家事・育児に関われないことは配偶者の就業継続も困難にする。意欲と能力ある女性を生かし切れないことは社会にとって損失だ。多様な働き方が、ようやく経済成長の視点から議論されるようになったいま、実効性ある仕組みづくりを急ぐべきだ。  深夜残業が常態化している経済産業省。そんな同省でも残業前提の働き方からの脱却に着手する。超過勤務が必要な場合は理由とともに事前に申請。深夜残業に連日追われている職員を減らすため、人員配置にも目を光らせる。日々の業務を効率的に行うことで「仕事以外の経験を通じ、能力を高める努力をしてほしい」。立岡恒良事務次官はこう指示した。  「男性社員のたった1時間の残業をなくすことが女性の活躍推進、ひいては企業の収益力向上につながる」―。こんな提言をまとめたのは企業活力研究所(東京都港区)。わずかな業務効率化ができないことが子育て世代男性の家事・育児の大きな足かせとなっており結果として、配偶者の就業継続を阻んでいる実情が浮き彫りになる。    妻が正社員として働く男性約600人を対象に同研究所が実施した調査では、8割以上が「仕事や職場の雰囲気にかかわらず、可能な限り家事・育児を行う」と考えている。ところが実際に分担できているのは退社時間に左右されない家事・育児。子供の迎えなどは妻に依存している。注目すべきは「1時間以内の短時間残業」が3割に上る現状だ。1時間程度が問題なら工夫次第で解決の余地が見いだせないか。    日本政策金融公庫中小企業事業本部証券化支援室の久保田乾一さん(35)。週2回のノー残業デーは午後5時過ぎに退社し、4歳と2歳の娘が待つ保育園へと急ぐ。大手化学メーカー勤務の妻は、この日ばかりは時間を気にせず仕事に没頭できる。互いの両親の日常的なサポートはなく夫婦で分担しながら子育てに追われる久保田さんにとって「残業削減などワークライフマネジメントの取り組みを、組織として徹底してくれるおかげで、いまの生活がある」と話す。    実際、働き方の見直しは掛け声だけでは実効性に疑問が残る。個人や職場の意識改革に訴えるだけでなく、組織として制度をどう運用するかや従業員への動機付けがカギとなる。時間ではなく効率と成果に基づく評価手法の導入はもとより、仕事の特性に配慮した業務改善や不要業務の洗い出しなど管理職の果たす役割も大きい。  長時間勤務のイメージが色濃い金融機関だが、日本公庫では2008年の統合・発足以来、加速的に社内制度が充実してきた。久保田さんは育児を理由に通勤可能な地域に勤務地を限定できる転勤特例制度も利用。働きやすい企業とのイメージから今や新卒採用の4割を女性が占めるという。  働き方改革は政府の成長戦略の柱でもある。人口減少時代に突入した日本にとって労働力人口の維持や生産性の向上は不可欠だからだ。「月1回の有給休暇さえ取得できない現状で働き方など変えられるのか」(若手官僚)と懐疑的な声があるのも事実。ただ、明るい時間に公務員が率先して退庁することで、社会全体に新たな価値観を示す効果は期待できる。「隗(かい)より始めよ」の意味はそこにある。 

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