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海外に産業ガスの活路を見出す大陽日酸

米社買収、アジアでも布石着々
 大陽日酸は米国で仏エア・リキードが持つ空気分離装置(ASU)18基や炭酸ガスなどの工場、営業拠点を買収する。米エアガスの買収を決めたエア・リキードに対し、米連邦取引委員会が独占禁止法への抵触を指摘。エア・リキードに米国事業の一部売却を求めていた。取得額は非公表だが、大陽日酸としては過去最大の590億円規模とみられる。

 買収により、年間2億6300万ドル(約270億円)の増収効果を見込む。米東部や中西部のASUのほか、液化炭酸ガスプラントや亜酸化窒素工場、営業所を取得。手付かずだった米東部でも産業ガスを生産できるようになる。事業拡大で欧米大手に対抗し北米シェア10%につなげる。
日刊工業新聞2016年6月27日
米山昌宏
米山昌宏 Yoneyama Masahiro
国内での産業ガスの需要の伸びは、あまり期待できない。そのため、大陽日酸は積極的に海外展開を計っており、海外売上高比率を現在の3割から5割まで高めることを目標としている。米国では、現在17基の空気分離装置を持っており、2014年には米国の炭酸ガスメーカーのコンチネンタル・カーボニック・プロダクツを買収した。また、アジアでも積極的に事業展開を行っている。大陽日酸は、2014年に三菱ケミカルHDグループの一員となり、グループ会社と国内外で協力体制にある。

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