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ロボットと自然に会話できる未来を創れるか?ユカイ工学、ATRと共同開発

 ユカイ工学(東京都新宿区、青木俊介社長、03・6380・4710)と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は「自然な会話を実現する家庭内ロボット」を共同開発することで合意した。ユカイ工学のロボット技術やビジネスプロデュース力とATRの最先端技術を掛け合わせコミュニケーションロボットと当たり前に暮らす日常の実現を目指す。

 ATRが持つ「パラ言語」(言葉に表れないが発話に伴い伝わる情報)の処理などの音環境知能技術をユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」に応用する。家族間のコミュニケーション充実や、基板技術を他のコミュニケーションロボット向けのモジュール製品として提供するための開発を進める。

 なお、今回の共同開発にあたりユカイ工学は日本ベンチャーキャピタルのファンド「けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合」から1億円の出資を受ける。

家族を見守るロボットを―ユカイ工学「BOCCO(ボッコ)」


 「自分が鍵っ子だった」という青木俊介代表取締役の経験をふまえて、家族をつなぐコミュニケーションロボットとして開発されたボッコ。共働きの家庭で子供が帰宅したことをドアに付けたセンサーが感知し、親のスマートフォンに通知する。
 デモンストレーションでは、アプリからメッセージを送ると着信音とともにボッコの首がぴょこっと動き、目がやさしく点灯。おなかの再生ボタンを押すとまた首がぴょこっと動き、「おかえり」とメッセージを読み上げた。録音ボタンを押すと声を録音でき、アプリへ返信できる。小さい子供が使うことも想定し、ボタンは2つ、操作は簡単だ。
 青木社長は「10人で開発している。DMM.comに声掛けされることで大々的に製品を世の中に出せる。開発に集中でき、生産にこぎつけられた」と提携について触れ、「将来的にはコミュニケーションロボットがインターネット情報にアクセスする窓口や、スマートハウスのインターフェイスになれば」と話した。
日刊工業新聞2016年6月24日 ロボット面/2015年05月20日ニュースイッチオリジナル
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ボッコにはモニターもなければ、ダイナミックな動きもしません。ただ一般家庭に十分なじむサイズで、シンプルなデザインは誰でも使いやすく親しみを持てるので、ここにさらなるコミュニケーション技術が搭載されれば普及は早いかもしれません。

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