都市主体で温暖化対策に乗り出す―「企業の参加で経済効果」

地球環境戦略研究機関理事長・浜中裕徳氏インタビュー

 世界中の都市が、地球温暖化対策に積極的になっている。政府間の温暖化交渉の場でも発言力を増し、2015年末採択の「パリ協定」に都市の役割が盛りこまれた。都市の動きは、スマートコミュニティー(次世代社会インフラ)の普及を後押しする。5月に開かれた主要7カ国環境大臣会合で、都市会議の共同議長を務めた地球環境戦略研究機関の浜中裕徳理事長に、都市が意欲的になった理由を聞いた。 ―都市が温暖化対策に役割を果たそうとする理由は。 「世界の温室効果ガスの70―80%が、都市部から排出されているというデータがある。異常気象による自然災害で市民が被害を受けており、都市も危機感を持つようになっている。都市は温暖化の原因を作っているが、資金力があって専門家も多く、解決に貢献できる」 ―どのような貢献ができますか。 「カナダのバンクーバーはエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うと宣言した。温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す都市連合もある。高い目標は市民へのメッセージとして説得力がある」 ―日本の都市の取り組みは。 「東京都は温室効果ガスの排出量取引制度を導入し、削減で成果を上げた。長野県飯田市は市民出資の太陽光発電所の建設を支援し、収益が市民に配分される仕組みを作った。コンパクトシティーを進める富山市は中心部に施設が集中し、税収が増える好循環が生まれている」 ―経済効果も期待できますね。 「北九州市は公害を克服した経験を生かしインドネシア・スラバヤ市の廃棄物、エネルギー、水の問題解決に貢献している。この都市間協力に地元企業も参加する。横浜市も環境都市づくりのノウハウをアジアに広めようとしており、連携する企業にはビジネス機会だ」 ―スマートコミュニティーの導入にも企業との連携が欠かせません。 「岡山県真庭市は地元の集成材メーカーの銘建工業などと、地域の森林資源を燃料とするバイオマス発電所を建設した。森林整備、温暖化対策、国産材利用の流れができ、利益を地域にとどめるモデルといえる。企業は地方自治体と一緒だと、資金も調達しやすい。利益率は低くても技術・ノウハウを習得し、国内外に事業を展開できる」 【記者の目/地域経済にも恩恵必要】 スマートコミュニティーの導入には都市の意欲や調整力、企業の技術や経験の融合が必要だ。浜中理事長は「地域経済の活性化につなげることが重要」とも指摘する。温暖化対策だけでは進まない。企業が利益を追求するだけでも定着しない。地域経済にも恩恵がないと、スマートコミュニティーは成功しない。(編集委員・松木喬)

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