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ダイヤの地層にだけ繁殖する珍植物、西アフリカで発見

採掘場所みつけやすく、”ダイヤモンドラッシュ”に?
ダイヤの地層にだけ繁殖する珍植物、西アフリカで発見

ダイヤモンドを含む地層に生育するPandanus candelabrum(Stephen Haggerty氏)

 ダイヤモンド原石が含まれる地層の表面だけに繁殖する珍しい植物が、西アフリカのリベリアに存在することが確認された。これまでスウェーデンや中央アフリカで銅鉱床を好む植物が知られていたのに対し、ダイヤモンドでは初めて。もしそれが本当であれば、飛行機や衛星からの観測で、ジャングルを含めダイヤモンドのある地層の探索が容易になる可能性もあるという。サイエンス誌がニュースとして報じた。

 発見者は米フロリダ州マイアミにあるフロリダ国際大学の研究者で、ダイヤモンド採掘会社の経営幹部でもあるStephen Haggerty氏。この植物の鑑定を植物学者に依頼したところ、カメルーンからセネガルにかけて生息するタコノキ属(パンダナス)の植物(学名Pandanus candelabrum)までわかったが、実態はほとんど知られていないという。タコの足のような支柱状の太い根が地上に露出した「支柱根」を持ち、高さは10m以上。葉にはトゲがあって、地元民が家の屋根材として使っているとのことだ。

 一般的に、天然ダイヤモンドは地下数百kmで高温・高圧にさらされた炭素の結晶状態が変化することで生成。火山活動により、地中から縦に細長くパイプ状に伸びた火成岩のキンバーライト(キンバリー岩)に乗って地表近くまで運ばれてくる。

 Haggerty氏は、2013年にリベリア北西部で幅50m、深さ500mのキンバーライト層を見つけ、ここで20カラットと1カラットのダイヤモンド原石を2つずつ発見した。その際、キンバーライトの地層表面だけに生育する植物に気づき、これ以外にも、50km南にある別のキンバーライト層で同じ植物の存在を確認している。この地層はマグネシウム、カリウム、リンといったミネラル分を豊富に含むことから、植物がキンバーライト層に適合したものと同氏は見ている。詳細は「エコノミック・ジオロジー」6-7月号に発表された。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
この植物はダイヤモンド好きというわけではないらしいが、なぜ特定の鉱物のある場所に生息しているのか、科学的な解明が待たれる。一方で、今回の話を手がかりにダイヤ目当てに採掘者が世界中から押し寄せ、ゴールドラッシュならぬダイヤモンドラッシュが起きたりして。

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