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本田技研、人工知能で渋滞判定。危険運転やマナー判定にも

 本田技術研究所四輪R&Dセンターは車両の運転席に置いたスマートフォンの計測データから渋滞などを推定する人工知能(AI)技術を開発した。車速や加減速の状況をスマホの加速度センサーなどから集め、渋滞のひどさを判定する。インドネシアなどで実証実験を進め、ドライバーの危険運転などの評価に応用していく。

 高速道路で渋滞時の走行データを集め、ひどい渋滞と軽い渋滞のパターンを機械学習を使って判別した。走行中にその道が渋滞になりそうか助言できようになる。スマホをセンサーとして利用するため車種を問わず、広くデータを集めやすい。

 今後データが増えれば天候や路面、車両ごとの、より精緻な推定が可能になる。日本では渋滞把握のために、幹線道に交通量計測装置が設置されているがコストが大きかった。

 スマホで進行方向の加速度や速度を測定するため無理な割り込みなどを検出可能。新興国で二輪タクシー配車サービスなどと連携し、利用者によるドライバーの評価と、走行データを結びつける。危険運転のパターンをAIで判別し、ドライバーの技能を評価する。渋滞回避と運転マナー向上を促して渋滞の緩和につなげる。
日刊工業新聞2016年6月8日の記事に加筆
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
インドネシアの二輪タクシーは運転マナーの悪いドライバーが多いそうです。ドライバーを評価する際、運転の上手い下手、安心感など、主観に依ってしまう評価はビッグデータから推定するよりユーザーの評価を聞いた方が早いです。評価をしてくれるのはタクシー利用者のほんの一部でも、教師データにして、残りのデータの評価に使えます。その推定精度は完璧でなくても、自動的に指導ができてマナーが向上し、事故や渋滞が減るなら面白いです。まだ研究段階と思いますが、是非、新興国でデファクトをとってもらいたいです。バーチャルなタクシー免許制や渋滞抑制など、車両販売以外のビジネスが広がっています。 (文=小寺貴之)

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