日本初のスマートコミュニティー「柏の葉」に日立が目指す都市の形がある

アーバンソリューション、まずは電力融通から。次は海外へ

柏の葉スマートシティには海外からも見学者が絶えない

 三井不動産が開発した「柏の葉スマートシティ」(柏の葉SC、千葉県柏市)は、日本初の本格的なスマートコミュニティー(次世代社会インフラ)だ。住宅2000戸、1000人が働くオフィス棟、大型商業施設が立ち並ぶ街では、2014年から新しいエネルギーインフラが稼働している。  特徴的なのがエリアごとに持つ分散電源の電力を、建物から建物へと送る電力融通だ。平日の日中、オフィスの電力需要が増えると、商業施設からオフィスへ電力を送る。逆に休日は商業施設の電力需要が多いので、オフィスから送電する。建物同士が過不足を調整し合い、街全体として電力消費を抑える。  太陽光発電や大型蓄電池といった分散電源も、街の主力電源として使いこなす。災害で電力会社の送電が途絶えると太陽光、蓄電池、ガス発電機から集合住宅にも電力供給ができる。  街全域の電力を制御するのが、日立製作所が三井不動産と構築したエネルギー管理システム「AEMS」だ。日立トータルエンジニアリング本部の戸辺昭彦事業主管は「エネルギーからの最適提案だったが、振り返ると新しいモデルを作れていた」と語る。  柏の葉SCに先行して開業した「柏の葉キャンパス駅」周辺のエレベーター300基、東京・秋葉原と柏の葉キャンパス駅を結ぶ鉄道「つくばエクスプレス」の車両も日立製だ。日立はエネルギーに限らず、新しい街づくりに事業横断的に関わった。  日立は4月1日、都市が抱える課題解決を支援する「アーバンソリューションビジネスユニット(BU)」を立ち上げた。都市を見渡し、課題解決の視点から最適な製品・システムを提供する。アーバンソリューションBUを統括する小林圭三執行役常務は「ソリューションをつなげて価値を大きくする」と使命を語る。  オフィス、商業施設、住宅に個別提供してきたサービスをつなげることで実現した電力融通は、課題解決型の新しいビジネスと一致する。  これからアーバンソリューションBUが、スマートコミュニティーの推進役を担う。ターゲットの一つが東南アジア。激しい交通渋滞を解消しようと、鉄道の敷設計画がある。鉄道が開通して沿線に街ができると、柏の葉SCの知見が生きる。  実際に柏の葉SCへは、東南アジアからの見学者が多いという。デンマークからの訪問もあった。日本がスマートコミュニティーの手本としてきた欧州も、柏の葉SCに注目している証拠だ。日立のビジネスモデルに変革を起こしたスマートコミュニティーは、海外展開も始まろうとしている。  ※6月15日ー17日まで東京ビッグサイトで「スマートコミュニティJapan 2016」が開催されます。

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