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タービンなどの開発で培った技術を生かしドローンの受託設計

ターボブレード、空気の流れをシミュレーション。最大約100kgの荷物を搬送
タービンなどの開発で培った技術を生かしドローンの受託設計

2重反転機構のドローンの流体解析図

 成長市場として期待される産業用の飛行ロボット(ドローン)。ターボブレード(大分市、林正基社長)の林社長は「設計段階から高性能と安全性の確保が必要」と訴える。同社は流体機械の受託設計、産業機器の熱流体解析が専門で、水力発電所や地熱発電所のタービンなどの開発設計を手がける。そこで培った技術を生かして空気の流れをシミュレーションし、浮力が大きく安全性が高いドローンの受託設計に乗り出した。

 林社長は「市販ドローンは既成部品を組み合わせた製品が多く、空気の流れを詳細に解析して設計するケースが少ない」と指摘。安全性に注目して「プロペラなど流体部の設計は自社の強みが発揮できる分野」とみる。ターボブレードが提案するのは「中型」と呼ばれるドローン。最大約100キログラムの荷物を搬送できるものを設計し、7月に試作機の製作を目指す。

 上下一組のプロペラを相互逆方向に回転させる二重反転機構を採用する。プロペラを含む直径は約1メートル、高さは約40センチメートル、機体重量は約40キログラムとする。揚力は約1400ニュートン。電池式で荷物を積載した飛行時間は約1時間を見込む。

 機体にはアルミニウムを使う考えで、カーボンを使うドローンと比べると「3分の2程度にコストを抑えられる」(林社長)としている。

 約500キログラム以上の荷物を搬送できるドローン用ガスタービンエンジン開発の構想も描く。「3年後はドローンや油圧ロボット関連の設計数が、既存の流体機械設計数と並び、全体の半分になるまで比率を引き上げたい」(同)という。デザイン・エンジニアリング企業として、さまざまな設計ニーズの開拓を目指していく。
(文=大分・広木竜彦)
日刊工業新聞2016年5月17日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
配送や災害対応、インフラ点検など多様な産業分野でドローンが活躍するには、突風でも墜落しない安定性や、落下して人を傷つけたりしない信頼性が必須となる。だが、現状のドローンの性能ではまだ足りないと言われる。ターボブレードのように、これまでにない観点からドローンの性能を高めるやり方は画期的なドローン開発につながる可能性があり、面白い。それにしても、中型ドローン1機で100キログラムの重量物を運ぶという目標はすごい。実現すると、ドローンの活用分野が一層広がるだろう。

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