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【GW企画】“ロボット”検索してみた#3 ドローン、人工知能は便利?怖い?

【GW企画】“ロボット”検索してみた#3 ドローン、人工知能は便利?怖い?

「ドローン」の検索数推移 ※期間中最大値を100とする 集計対象期間:2012年1月1日~2016年4月3日

ロボット関連のワードで、最近ホットなテーマといえば、飛行ロボットの「ドローン」と「人工知能(AI)」だろう。実際、日刊工業新聞の報道でも毎日のように二つの話題が掲載されている。双方、共通するのはプライバシーの問題や人類への反逆への不安といったネガティブな話題で注目されることだ。


官邸落下事件で爆発的な伸び



 ドローンという言葉が最も検索されたのは2015年4月22日。この日は東京・永田町の首相官邸屋上にマルチコプター型ドローンが墜落しているのが見つかり大騒ぎとなった。この事件は日本でのドローンを飛ばす際の規制・罰則といった法制度の未整備、テロ対策の不十分さを露呈し、その後の法規制を促す契機となった。
 この事件を1つの大きなきっかけとしてドローンは一般的に認知されたようだ。次に盛り上がったのは犯人の「少年」の逮捕。官邸落下事件時の検索が爆発的に多く、この日がドローンが一般の人に知られた契機と言っていいだろう。 



 第二検索ワードは、「価格」や「空撮」、「おすすめ」とドローンの購買に興味があるという層の言葉が多い。だが「規制」、「少年」など頻繁に起こったドローンの墜落やプライバシー侵害への危機感を示す検索も入っている。

否定的な印象が先行?



 人工知能(AI)の検索は、テレビ番組で「AIが地球を滅ぼす」といったトーンで扱われるたびに盛り上がっている。ほかにも2016年3月26日に米マイクロソフトのAI「Tay」が差別的な言葉を発するようになり公開停止となった出来事を受けて検索数が上昇した。
 AIは、2012年にディープラーニング(深層学習)という手法によって画像の認識率が飛躍的に高まり一気に世界的なブームとなった。日本でも徐々に人工知能の検索数が増えていたが一般に定着したといえるのは2014年末ごろからのようだ。「AIが職を奪う」といった否定的な印象が先行しているように見受ける。最近は米グーグルグループのAI「アルファ碁」が世界で最も強い棋士の一人に勝ち越したニュースなどAIの話題が一層増え、検索数も一段と増加している。



 また、世代別では20代から60代までまんべんなく検索している。40代の割合が多かったドローンとはハッキリ違いが出た。怖いもの見たさのような好奇心で、みんながAIの事を知りたいという現状がうかがえる。

<記者の目>
 ロボット関連の検索を調べると、テレビや新聞といった報道の重要性を再認識する。いまはインターネット全盛の世の中と言われる。だが、人工知能やルンバの検索が増えたのはテレビで紹介されたとき。ペッパーやドローンの検索が爆発的に増えたのは新聞やテレビで盛んに報道されたことがきっかけだ。しかも、最初にネガティブに伝えられたドローンや人工知能はいまも否定的なイメージを拭いきれていない。報道に携わる者として、新しい技術や事象を広く紹介するとき、どう伝えるかでその技術や事象の受け取られ方が大きく変わってしまう、ということをあらためて反省した。
(文=石橋 弘彰)
ニュースイッチオリジナル
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ビジネス上では人工知能に対する理解が進んでいるように思いましたが、「人工知能は怖い」「危険」という漠然とした不安が根強いことがわかりました。一昔前は「ロボットが人間の仕事を奪う」という話が蔓延してましたが、今回の調査では「ロボットが怖い」というイメージがなかったのが意外でした。この差が気になります。

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