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センサー付き枕や支援機器も登場! 睡眠の質にこだわる快適グッズ

センサー付き枕や支援機器も登場! 睡眠の質にこだわる快適グッズ

枕の下に置くだけで睡眠時の情報を取得できる

 寝具をはじめとした睡眠関連の製品が注目を集めている。最近は「睡眠の質」への関心が高まっており、枕をなど工夫することで快適な眠りに導くことを狙った商品が登場。センサーを活用して眠りの深さや起床時間などを記録する枕も販売されている。今、注目の関連製品を集めてみた。

まくら―顧客に「合う枕」提供


 まくら(千葉県柏市、河元智行社長、04・7167・3007)は、枕などの寝具をオンラインショップ18店舗を通じて販売する。これまでは取扱量や種類を増やし、規模と安さで差別化してきたが、最近は独自のサービスと自社製品の開発に注力している。中でも睡眠状態の数値化と、それを基にした「合う枕」の提案で顧客取り込みを図る。

 「睡眠の質」への関心の高まりから「枕市場は活性化しており、1万円以上の高額枕の売れ行きも好調」(河元社長)という。だが高価なだけに、実際の製品に触れられないオンラインショップ販売での購入をためらう客は多い。そこで安心感を高めるため「20日間寝ごこち安心保証」として使用後の返品を受け付けた。これにより「価格競争のみとなりがちなオンライン販売で価格以外の差別化ができ、新規顧客も増やせた」(同)と話す。

枕のレンタルも


 この返品のサービスを発展させ、2013年には枕のレンタル事業を開始。50種類以上の枕から3個を選択し、21日間レンタルできる。費用は1000円と返却時の送料。大手メーカーの枕を中心に常時約900個を在庫するが、追いつかない状況が続いている。「枕の良否では普段使うベッドや布団、寝姿勢との相性が大きい。店舗での短時間のお試しでは分からない」(同)。そのため自宅でじっくり試せるレンタルは、店舗販売より優位性があると考える。

 有料のサービスだが、クリーニング代などで費用がかさみ、枕販売につながらないと利益は薄い。だが、ほしい枕の品番が分かれば格安店に客は流れてしまう。レンタル後の同社サイトでの購入率は約32%。これは「採算が合うギリギリのレベル」(同)だという。顧客の囲い込みには、現在は約10%にとどまる自社開発製品の充実が欠かせない。

睡眠状態数値化


 この開発力を高めるために始めたのが、睡眠に関する情報のデータベース化だ。顧客情報から、寝姿勢などと購入した枕の高さや固さとの関係を調べた。さらに実際の睡眠時の情報を取得する端末「iPillow」を開発。端末を枕の下に置いて寝ると加速度センサーが10分の1秒ごとに揺れを検知する。眠りの深さや起床時間などを記録する。さらに温度、湿度、音量も測定し、室内環境がどう眠りに影響するかを測る。得られた情報は自動的に同社へ発信される。1000台を常連客や眠りに関する悩み相談をしてきた客などに貸し出し、データを収集中だ。

 現在は、睡眠状態の数値化を目指し、睡眠状態判定のアルゴリズムの開発を進めている。今後はレンタル事業と連携し、各枕の試用時の睡眠状態をリポートとしてまとめ、顧客に報告する計画だ。

 オンライン販売の弱点だった製品の試用や顧客への細やかな提案力。新しいサービスとオンライン販売ならではの情報収集力がそれを変えていく。
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日刊工業新聞2015年4月17日 建設・エネルギー・生活2面/2016年4月22日 モノづくり面/2016年2月26日 電機・電子部品・情報・通信2面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
安眠を確保するため、自分に合った枕を求めて1万円以上出費する人もいるそうです。関連市場の拡大が見込めます。

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