リコーの環境経営、新ステージ突入―思い切った開発体制と大胆な目標設定とは

複写機の主力工場を環境事業開発センターに刷新

複写機を解体するリサイクル工程

 リコーが環境事業の育成に本気になった。このほど開所した「環境事業開発センター」は工場に併設した施設でも、研究所の一室を間借りした拠点でもない。環境事業の創出に特化したセンターだ。2020年度には環境事業で売上高1000億円を目指す。思い切った開発体制と大胆な目標設定で環境経営を新しいステージに引き上げる。  複写機の主力工場だった御殿場工場を環境事業開発センターに刷新した。10万平方メートルの敷地を新しい環境技術の実験の場として使う。開発を研究所任せにせず、センターでも技術を試して成果を開発に反映させて事業化までの速度を上げる。  複写機のリサイクル工程がある建物の横では、プラスチック(樹脂)油化技術の実証が始まった。複写機で使い終わったトナーカートリッジごと熱し、樹脂を気体にして蒸留しながら油と金属などに分ける。年3000トンのカートリッジを油や金属に再資源化すると、年1億円のコストを削減できるという。  マイクロ水力発電もセンター内の水路に取り付けた。出力は800ワットで、太陽光パネル3―4枚分の電気を生み出す。マイクロ水力発電は農業用水のような小さな水流に設置できるが、たまった落ち葉が発電を妨げる課題がある。リコーは3Dプリンターで落ち葉がつまらない構造の水力発電を試作した。  センターでの実証は公開し、一緒に開発に取り組む企業や大学を募る。オープンイノベーションによっても開発速度を上げる狙いで、東京大学や東北大学、御殿場市や川崎市、東芝など産学官の連携が始まっている。  これまでの環境経営は、自社の二酸化炭素(CO2)や廃棄物の排出削減の取り組みだった。  いま、本業にも貢献する環境経営が求められている。社会の環境負荷を低減する製品・サービスの販売で利益が生まれれば、企業による環境貢献が長続きするからだ。  リコーも省エネ性を高めた複写機を販売し、顧客のCO2削減と利益を追求してきた。海外企業が複写機の選定で環境経営を評価し、リコー製を購入することがある。15年末の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)でもリコーは文書管理を任された。  三浦善司社長は「環境保全と利益創出を同時に実現する環境経営に取り組んできた」と手応えを語る。そして「さらに進化させ、これまでの事業領域にとらわれず、より広い分野での環境事業を創出する」と意気込む。  環境事業が1000億円規模に育てば経営にも大きく貢献する。新しい環境経営への転換で、リコーは新たな成長の機会も手に入れる。 (文=松木喬)

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