ニュースイッチ

産油国に日本の「省エネ制度」を輸出したい!

経産省がエネルギー白書骨子案、
 経済産業省は13日、中東産油国などへ日本の省エネルギー制度の輸出などを盛り込んだ、2015年度版エネルギー白書の骨子案を自民党の部会に示した。中東産油国は補助金でエネルギー価格が抑えられており、世界最高の省エネ水準の日本と比べ取り組みが遅れている。エネルギー管理士制度や事業者のエネルギー管理基準などの制度を体系的に輸出し、各国の単位当たりエネルギー使用量の改善につなげる。自民党の了承を経て、5月中にも閣議決定する。

 白書では、世界のエネルギー需要は中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)だけでなく、中東産油国でも大幅に増えると予想。中国などが省エネ制度の構築を進める中、取り組みが遅れている中東産油国・地域の制度の熟度やエネルギー需給の特性に応じ、日本の省エネ制度などを輸出する。各国の省エネが進展すれば、国際的なエネルギー需給の緩和につながり、日本にとってもメリットは多い。

 また、白書には日本のエネルギー関連インフラの輸出促進を盛り込んだ。東南アジアなどの新興国では天然ガスや石炭などエネルギー輸入の依存度が高まる見通しのため、エネルギー源の多様化は急務。日本の政策立案の経験や高効率石炭火力など全分野の優れたエネルギー関連技術を総動員し、エネルギー源の多様化や安定供給に貢献する。

 このほか、将来の石油や天然ガスなどの安定供給のためには、欧米の巨大資源企業である「メジャー」に対し、資金や技術、人材面で競うことができる「中核的企業」の形成が日本でも必要だと主張した。
日刊工業新聞2016年4月14日 総合1面
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
中東産油国はエネルギー価格が低く抑えられている。省エネ制度を輸入しても、省エネするインセンティブが働くだろうか。エネルギー需要を減らす最善の方法は価格を上げること、みな省エネに走る。オイルショック時の日本がそうだった。日本の制度はその経験を学習している。「輸出」がうまく機能することに期待したい。いっぽう本日の電子版の記事に「東電HD、ベトナムに技術協力ー配電系統整備を支援”とある。新興国のエネルギー需要の増大に対処するため、エネルギー源の多様化や安定供給に資する日本の優れたエネルギー政策や関連技術は率先して「輸出」すべきだ。この記事の後半部分“白書には日本のエネルギー関連インフラの輸出促進を盛り込んだ。」の内容は国益にかなっている。大いに進めてほしい。

編集部のおすすめ