“逆オイルショック”樹脂リサイクル業界に波及

いずれ撤退も?

廃ペットボトルの落札価格

 原油価格の急落による“逆オイルショック”が、プラスチック(樹脂)リサイクル(再生)業界にじわじわと広がっている。石油から作るバージン(新品)樹脂の値下がりに連動し、再生樹脂も価格を下げている。コスト割れで再生樹脂を販売するリサイクル業者も出ている。国内で樹脂を安定確保するために、価格に左右されないリサイクル網作りが課題となっている。  再生樹脂取引の指標の一つが、容器包装リサイクル法による廃ペットボトルの落札価格だ。2014年度は1トン当たり6万円近くしたが、15年度は一時同2万円台に急落した。16年度の入札結果も同2万385円(速報値、消費税抜き)を付けた。特殊要因で同2万円台を付けた13年度上期(4−9月)を除くと、リーマン・ショック後の最低価格だ。  落札価格はリサイクル業者が自治体から廃ペットボトルを買い取る価格。業者は廃ペットボトルを洗浄・粉砕した再生樹脂を成形品の原材料として販売している。落札価格が下がっても、業者は安く仕入れができたと喜べない。再生樹脂は新品樹脂よりも3―4割安く、再生樹脂の売値も下げざるを得ないからだ。  採算割れを心配して業者が買い取らなかった廃ペットボトルの割合が14年度の1%から5%へ上昇している。 (「買い取り」はしていないが、引き取っている)  家電リサイクル工場では、家電に再利用できる高品質な再生樹脂も「市場に連動して値下がりしている」(パナソニック)という。ただし「操業に影響があるほどではない」(三菱電機)。  懸念されるのが再生樹脂の使用を取りやめ、価格が安くなった新品樹脂への切り替えが進むことだ。家電に再生樹脂を使う三菱電機は「利用を拡大する方向に変わりはないが、価格を見ながら進める」とする。パナソニックも「価格メリットがあるので再生樹脂を使う」と話すように、環境負荷低減も考えて再生樹脂を使う企業に原材料を見直す動きは出ていない。  ただ、このまま再生樹脂のコスト割れが続くとリサイクル業者は疲弊し、いずれ撤退も起きる。国内のリサイクル網が崩壊すると、資源の輸入依存度がさらに高まる。原油価格が反転して高騰するリスクもあり、リサイクル網は樹脂の安定確保のために欠かせない。  新品樹脂の価格に左右されずに再生樹脂を使い続ける環境整備が求められる。 (文=松木喬)

続きを読む

特集