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キャセイパシフィック「747」年内退役。「A340」はリサイクル進める

エアバスA350は5月に初号機受領
キャセイパシフィック「747」年内退役。「A340」はリサイクル進める

解体作業で主翼を外された元キャセイパシフィック航空のA340(同社提供)

 キャセイパシフィック航空は、ボーイング747-400型機を2016年中にすべて退役させる。当初の計画より、退役を1年早める。計46機を発注しているエアバスA350 XWBは、同社向け初号機を5月に受領する。

 747-400の旅客機は2015年に4機を退役させ、現在は3機を保有。貨物機についてはボーイングとの包括契約により、2015年に2機の747-400F貨物機をボーイングに売却。残りの4機も年内に売却する。

 ボーイングの発注リストによると、キャセイパシフィック航空は計58機の747を導入。1979年7月20日に747-200Bを初受領している。747-400は旅客型を17機、貨物型を計12機受領。747-400の後継機となる747-8は、貨物型の747-8Fを14機発注ずみで、うち13機を受領している。

 ジャンボの愛称で親しまれた747は、燃油費の高騰や飛行機の技術的な進歩により、世界的に退役が進んでいる。日本では、全日本空輸が2014年3月31日に運航した那覇発羽田行きNH126便を最後に、旅客型が全機退役。現在日本国内で運航されている747は、政府専用機と日本貨物航空の貨物型のみ。

 A350 XWBのうち20機を発注しているA350-900について、5月に初号機を受領する。年内に計12機を導入する見込み。A350用のシミュレーターを2015年5月に2機導入し、受領体制を整えている。

 このほか、2015年にはA340-300が4機退役。今年2月には1機が退役し、残り6機も2017年末までに退役させる。退役したA340は、リサイクルが進められている。

3段階のリサイクル行程を経て解体


 キャセイパシフィック航空は、順次退役を進めているエアバスA340型機の解体やリサイクルに着手した。最終処分時に廃棄物を大幅に削減することで、環境負荷の低減を目指す。

 A340-300型機の初号機は1996年に受領。現在の座席数は265席(ビジネス26席、プレミアムエコノミー28席、エコノミー211席)で、中長距離路線などで運航している。エンジンを4基搭載することから燃料消費量が多く、順次退役を進めている。全11機のうち2015年に退役した4機のA340は、すでに解体施設へ輸送済み。フランス南西部に施設を構える英エアフィン社を通じ、環境へ配慮した3段階のリサイクル行程を経て解体していく。

 第1段階では、機体の解体とタンクから燃料や水を抜く作業を実施。第2段階でエンジンや着陸装置などの機体を構成する部品や装置を取り外し、点検や洗浄後に再利用する。最終段階では、リサイクル出来ずに廃棄物となる部分を分解するとともに、ワイヤーなどを分別する。胴体部分は切断し、分別後にリサイクル業者へ引き渡される。

 機体重量の40%を構成するアルミは溶解後、窓枠やドアなどの建設資材や航空宇宙、自動車産業用の素材として再利用される。キャセイパシフィック航空によると、リサイクルされるアルミは、金属精製の初期段階で要するエネルギーを削減できる利点もある。A340のリサイクルは、同社にとって過去最大の環境プロジェクトになるという。

 キャセイパシフィック航空は現在、低騒音で低燃費の機材に更新を進めており、残る7機のA340も2017年末までに全機退役する見通し。2016年に受領を開始するエアバスA350 XWBを含めて、2024年までに69機の新型機を導入する計画を進めている。


吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
747-400が年内で退役。A340も退役が進み、5月にはA350-900の初号機を受領します。

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